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図面や特記仕様書に「JASS5による」と書かれていて、『JASSって何?公共建築工事標準仕様書とは別物なの?』と手が止まったことはありませんか。どちらも「建築工事の標準仕様書」と呼ばれるので、まぎらわしいですよね。
結論から言うと、JASSは日本建築学会が刊行している建築工事標準仕様書で、国土交通省が定める公共建築工事標準仕様書とは作っている所も手に入れ方も違います。工事でどちらを使うかは、その工事の設計図書で決まります。
この記事を読めば、JASSの中身と番号の見方、公共建築工事標準仕様書との違い、工事で引く時の確かめ方が分かります。
日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS)とは?
JASSは、日本建築学会が刊行している「建築工事標準仕様書・同解説」のシリーズです。工事の種類ごとに番号が付いていて、例えば鉄筋コンクリート工事ならJASS5、鉄骨工事ならJASS6です。
『学会の本なのに、現場でそんなに使われるの?』と意外に思う方もいるかもしれません。実は、JASSはとても長い歴史を持つ仕様書なんです。
日本建築学会の説明では、建築工事標準仕様書は大正12年(1923年)から、その時代の技術・法令・規格に合わせた仕様書の標準化と普及を目的に刊行されてきました。
JASSの歩み
| 時期 | できごと(日本建築学会の説明より) |
|---|---|
| 大正12年(1923年) | 建築工事標準仕様書の刊行が始まる |
| 昭和16年(1941年)まで | 建築主体工事について16の標準仕様書を作成 |
| 戦争の間 | 10年間休止 |
| 昭和26年(1951年)から | 改正と普及が再開 |
日本建築学会の標準仕様書は、こうして時代ごとに書き直されながら、今も工事の種類ごとに刊行されています。
書名の形を覚えておくと探しやすい
JASSの本は、「建築工事標準仕様書・同解説 JASS○ ○○工事」という形の書名で出ています。発行は日本建築学会です。
例えば、鉄筋コンクリート工事の最新の例は「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事 2022」です。2022年11月に出た第16版で、909頁のB5判の本です。
『同解説』と付いているとおり、仕様の本文と、その解説が一緒になっているのが特徴なんですね。
- 建築工事標準仕様書:仕様の本文
- 同解説:本文の考え方を説明した部分
- JASS5:工事の種類ごとの番号
- 2022:刊行された年
JASSの種類一覧|JASS5・JASS6など番号ごとの工事
JASSは番号ごとに工事の種類が決まっています。日本建築学会の建築書店の一覧で、2026年10月時点で確認できた番号は次の表のとおりです。
『JASSって何番まであるの?』と気になりますよね。日本建築学会の建築書店の「建築工事標準仕様書JASS」の一覧を、編集部で表にしてみました。

| 番号 | 工事 |
|---|---|
| JASS1 | 一般共通事項 |
| JASS2 | 仮設工事 |
| JASS3・JASS4 | 土工事および山留め工事・杭および基礎工事(1冊) |
| JASS5 | 鉄筋コンクリート工事(2022) |
| JASS5N | 原子力発電所施設における鉄筋コンクリート工事 |
| JASS6 | 鉄骨工事 |
| JASS7 | メーソンリー工事 |
| JASS8 | 防水工事(2022) |
| JASS10 | プレキャスト鉄筋コンクリート工事 |
| JASS11 | 木工事 |
| JASS12 | 屋根工事(2023年改定・第4版) |
| JASS14 | カーテンウォール工事 |
| JASS15 | 左官工事 |
| JASS16 | 建具工事 |
| JASS18 | 塗装工事 |
| JASS19 | セラミックタイル張り工事 |
| JASS21 | ALCパネル工事 |
| JASS24 | 断熱工事 |
| JASS26 | 内装工事 |
| JASS27 | 乾式外壁工事 |
一覧の表示では、JASS10は品切れで今年度改定予定、JASS18は品切れで2026年度改定予定とされていました。JASS19は、陶磁器質タイル張り工事から改題されたものです。
表に無い番号(JASS9やJASS13など)は、編集部では今の刊行の状況を確かめられていません。また、年版を書いていない番号は、最新の年版を確かめられていないものです。買う前や引用する前に、日本建築学会の一覧で確かめてみてください。
建築工事標準仕様書 JASS5(鉄筋コンクリート工事)
JASS5は、鉄筋コンクリート工事の標準仕様書です。2026年10月時点で確認できた最新の例は2022年版で、第16版にあたります。
コンクリートや鉄筋の工事を担当すると、まず名前を聞くことになる一冊ですよね。図面や特記仕様書に「JASS5による」と書かれていたら、何年版を指しているかも一緒に確かめておきましょう。
建築工事標準仕様書 JASS6(鉄骨工事)
JASS6は、鉄骨工事の標準仕様書です。実は、国土交通省の公共建築工事標準仕様書の本文にも、JASS6の名前が出てくるんです。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の7.3.3[製作精度]では、鉄骨の製作精度は、日本建築学会の「建築工事標準仕様書6 鉄骨工事」(JASS 6)付則6[鉄骨精度検査基準]によるとされています。7.4.5でも、締付け施工法の確認はJASS 6の6.5に準ずるとされています。
- 特記仕様書や図面で、JASS6が指定されているか
- 公共建築工事標準仕様書のどの条でJASS6が引かれているか
- 手元のJASS6が、指定された年版と合っているか
- 付則や章番号を、指定どおりに開いているか
JASS8(防水工事)とJASS12(屋根工事)
防水工事はJASS8で、2026年10月時点で確認できたのは2022年版です。屋根工事はJASS12で、2023年に改定された第4版が確認できました。
JASSと公共建築工事標準仕様書を「作る団体」「使われ方」「入手方法」で比べる
JASSは学会が刊行する標準仕様書で、本として販売されています。公共建築工事標準仕様書は国土交通省が定めた各府省庁の統一基準で、PDFが公開されています。名前は似ていても、生まれも手に入れ方も違うんです。
『で、結局どっちを見ればいいの?』というのが、いちばん知りたいところですよね。ここでは、編集部が3つの観点で並べた比較表で見てみます。

| 観点 | JASS(日本建築学会) | 公共建築工事標準仕様書(国土交通省) |
|---|---|---|
| 作る団体 | 日本建築学会 | 国土交通省の官庁営繕部が制定 |
| 位置づけ | 学会の標準仕様書 | 各府省庁が共通で使う統一基準 |
| 使われ方 | 設計図書で指定された時に、その工事の仕様になる | 設計図書に適用すると書かれて、契約図書の一つになる |
| まとまり方 | 工事の種類ごとに1冊ずつ | 1冊に全23章(建築工事編)。主に一般的な事務庁舎の新築と増築を想定 |
| 入手方法 | 書籍として販売 | 国土交通省のサイトでPDFを公開 |
| 本の構成 | 本文と解説が一緒(同解説) | 本文(全23章)。解説は別の書籍がある |
| 2026年10月時点の例 | JASS5は2022年版 | 令和7年版 |
この表は、記事用に編集部が確認できた事実を並べたものです。「使われ方」のJASSの欄は、工事で使う仕様が設計図書で決まるという一般的な考え方から書いています。
作る団体の違い
公共建築工事標準仕様書は、国土交通省の官庁営繕部と地方整備局等の営繕部が、官庁施設の営繕のための基準として制定したものです。各府省庁の統一基準でもあります。
一方のJASSは、日本建築学会という学会が刊行している標準仕様書です。国の基準ではなく、学会がまとめた標準なんですね。
使われ方の違い
国土交通省の説明では、公共建築工事標準仕様書は、その工事の設計図書に適用すると書くことで、請負契約の契約図書の一つとして使われます。目的は、品質と性能の確保、設計図書を作る手間を減らすこと、施工の合理化です。
JASSを工事で使うかどうかも、その工事の設計図書でどう指定されているかを見て判断することになります。先ほどのJASS6のように、公共建築工事標準仕様書の本文がJASSを引いている所もあります。
入手方法の違い
公共建築工事標準仕様書は、国土交通省のサイトでPDFが公開されています。書籍版も公共建築協会の編集で刊行されています。
JASSは、日本建築学会の建築書店などで書籍として販売されています。日本建築学会には図書館デジタルアーカイブスもあり、建築工事標準仕様書のカテゴリが設けられています。
- 工事の種類ごとに、詳しい解説まで読みたい
- 特記仕様書や図面でJASSが指定されている
- 民間の工事で、仕様の考え方を確かめたい
- 国の機関などの公共建築の工事を担当している
- 特記仕様書で公共建築工事標準仕様書が適用されている
- まずは無料のPDFで全体を見ておきたい
工事でJASSはどう使う?設計図書と特記仕様書で確かめる
JASSも公共建築工事標準仕様書も、手元にあるだけでは工事のルールになりません。その工事の特記仕様書や図面で、どちらの何年版が指定されているかを最初に確かめましょう。
『学会の仕様書だから、JASSのほうが上なのでは?』と考える方もいますよね。ただ、工事で何に従うかは、仕様書の格ではなく、その工事の設計図書で決まるんです。
公共建築工事標準仕様書の優先順位
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)の1.1.1では、設計図書を、図面、標準仕様書、特記仕様書、現場説明書、質問回答書のことと定めています。食い違いがある時の優先順位は、次のとおりです。
| 順位 | 書類 |
|---|---|
| 1 | 質問回答書 |
| 2 | 現場説明書 |
| 3 | 特記仕様書 |
| 4 | 別冊の図面 |
| 5 | 標準仕様書 |
つまり、特記仕様書で「JASS○による」と指定されていれば、その工事ではJASSの内容が特記として効いてくるわけです。特記仕様書の役割は特記仕様書とは?標準仕様書との違いと優先順位で詳しく紹介しています。
JASSを引く時の手順
- 特記仕様書や図面で、適用する仕様書の名前と年版を確かめる
- JASSの指定があれば、番号と年版が合う本を用意する
- 公共建築工事標準仕様書の本文がJASSを引いている所も確かめる
- 目当ての工事の章を開き、本文と解説を読み分ける
- 判断に迷う所は、監督職員や設計者に確かめる
打合せではこんな確かめ方を
例えば、着工前の打合せでこんなやり取りをしておくと、後で迷いません。
「特記に『JASS5による』とありますが、何年版で読めばいいですか?」
「確認して、質問回答書でお答えします」
JASSの解説に書かれた考え方を、本文の決まりと同じものとして扱ってしまうことがあります。本文と解説を分けて読み、工事で求められているのはどちらかを確かめておきましょう。
公共建築工事標準仕様書の中身や章立ては、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)とはでまとめています。
名前の似た仕様書との違い|JIS・日本建築家協会の共通仕様書・自治体の仕様書
JASSとよく混同されるのが、JIS、日本建築家協会の名前が付いた共通仕様書、自治体の標準仕様書です。どれも作っている所が違うので、出典の名前で見分けるのが近道です。
『JASSとJISって、一文字違いで何が違うの?』という疑問、よく聞きますよね。名前の似たものを一度に並べてみます。
| 名前 | 作っている所・根拠 | ひと言で言うと |
|---|---|---|
| JASS | 日本建築学会 | 学会が刊行する建築工事の標準仕様書 |
| JIS | 産業標準化法に基づく日本産業規格 | 材料や製品などの国の規格 |
| 公共建築工事標準仕様書 | 国土交通省の官庁営繕 | 各府省庁が使う公共建築の統一基準 |
| 自治体の標準仕様書 | 各自治体 | その自治体の工事で使う仕様書 |
| 日本建築家協会の名前が付いた共通仕様書 | 日本建築家協会 | 編集部では版や公開の状況を確かめられていない |
JASSとJISの違い
公共建築工事標準仕様書の用語の定義では、JISは産業標準化法に基づく日本産業規格のことです。材料の規格としてよく出てきます。
例えば、公共建築工事標準仕様書では、溶接金網はJIS G 3551によるとされています。JISが「材料や製品の規格」、JASSや標準仕様書が「工事のやり方を含めた仕様」と分けて考えると分かりやすいですよ。
日本建築家協会の共通仕様書を探している方へ
建築家協会の仕様書として、日本建築家協会の名前が付いた共通仕様書や、建築設備工事の共通仕様書を探している方もいますよね。PDFで見られるか、という相談も見かけます。
ただ、日本建築家協会の共通仕様書については、編集部では版や内容、PDFが公開されているかを確かめられていません。使う場面があれば、発行元の案内で最新の版と入手方法を確かめてみてください。
自治体の標準仕様書との関係
東京都下水道局の建築工事標準仕様書(水再生センター・ポンプ所用)のように、自治体の機関が独自に定めた仕様書もあります。自治体の工事では、どの仕様書を使うかが特記仕様書に書かれているので、まずそこを確かめましょう。
標準仕様書という言葉の意味や、共通仕様書との違いは標準仕様書とは?共通仕様書・特記仕様書との違いで紹介しています。
JASSについてのよくある相談
閲覧の多い相談は「JASSの位置づけ」「公共建築工事標準仕様書との違い」「JISとの違い」に集まっています。どれも、作っている所と、工事でどう指定されているかを分けて考えると答えが見えてきます。
ネットの質問サイトで閲覧の多い相談を、編集部で要約して答えてみますね。
相談1:JASSはどういう位置づけのもの?
『日本建築学会の建築工事の仕様書は、法律のように守らないといけないものなの?』という相談です。とても多く読まれている相談なんです。
JASSは日本建築学会が刊行する学会の標準仕様書です。工事でJASSに従うかどうかは、その工事の設計図書でどう指定されているかで決まる、と考えておきましょう。
相談2:公共建築工事標準仕様書とJASSは何が違う?
作っている所が違います。公共建築工事標準仕様書は国土交通省の官庁営繕部が定めた統一基準で、PDFが公開されています。
JASSは日本建築学会が刊行する書籍です。公共建築工事標準仕様書の本文がJASS6を引いている所もあるので、まったく無関係というわけではないんですね。
相談3:JASSとJISはどう違う?
JISは産業標準化法に基づく日本産業規格で、材料や製品の規格としてよく出てきます。JASSは建築工事の仕様をまとめた学会の標準仕様書です。
『どっちも規格みたいなもの?』と思いがちですが、作っている所と役割が違います。出典の名前を見て分けておくと迷いません。
相談4:東京都の仕様書と学会の仕様書、どれを見ればいい?
東京都の建築工事標準仕様書、改修の標準仕様書、日本建築学会の標準仕様書が並んでいて迷う、という相談もあります。工事で使う仕様書は特記仕様書で指定されるので、まずはそこを見てみてください。

仕様書を読み分ける力は、ITの仕事にも通じる
出典の違う仕様書を読み分け、どれが今の仕事に効いているかを整理する力は、システム開発の要件定義や社内SEの仕事とも共通しています。今の現場で経験を積む道も、ITの仕事に進む道も、どちらも選べます。
ITの仕事に興味がある方は、どんな求人があるのかを一度のぞいてみると、道が見えてきますよ。
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よくある質問
日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS)とは何ですか?
日本建築学会が刊行している「建築工事標準仕様書・同解説」のシリーズです。工事の種類ごとに番号が付いていて、鉄筋コンクリート工事はJASS5、鉄骨工事はJASS6です。
JASSと公共建築工事標準仕様書はどちらを使えばいいですか?
その工事の特記仕様書や図面で指定されたほうを使います。どちらも手元にあるだけでは工事のルールにならないので、名前と年版を確かめてみてください。
JASS5の最新版は何年版ですか?
日本建築学会の書籍の案内では、2022年11月に出た2022年版(第16版)が確認できました。買う前に日本建築学会の一覧で最新の版を確かめておきましょう。
JASSは無料で見られますか?
JASSは日本建築学会から書籍として販売されています。無料で公開されているのは国土交通省の公共建築工事標準仕様書のほうで、PDFを見られます。
JASS6は公共建築工事標準仕様書でも使われますか?
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の7.3.3では、鉄骨の製作精度はJASS 6の付則6によるとされています。7.4.5でもJASS 6が引かれています。
まとめ
- JASSは日本建築学会が刊行する建築工事標準仕様書・同解説のシリーズ
- 工事の種類ごとに番号があり、JASS5は鉄筋コンクリート工事、JASS6は鉄骨工事
- 公共建築工事標準仕様書は国土交通省の統一基準で、PDFが公開されている
- 公共建築工事標準仕様書の本文がJASS6を引いている所もある
- 工事でどちらを使うかは、特記仕様書や図面で名前と年版を確かめる





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