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要件定義や設計の仕事を任されたい時、『何か資格を取っておいた方がいいのかな』と考える方は多いですよね。試験の種類が多くて、どれから手を付ければいいか迷ってしまいます。
結論から言うと、要件定義に役立つ資格はIPAの情報処理技術者試験を「基礎」「応用」「上流の専門」の3段で選ぶのがわかりやすい方法です。要件定義にいちばん近いのはシステムアーキテクト試験ですが、多くの人は基礎から順に積み上げていきます。
この記事を読めば、自分が今どの段にいて、次にどの試験を受ければいいかが分かります。
要件定義に資格は要る?先に結論
要件定義の仕事に就くのに、資格が要るわけではありません。ただ、資格は「この人は基本の知識がある」と伝える材料になり、上流工程を目指す時の学びの順番にもなります。
『資格がないと要件定義をやらせてもらえないの?』と不安になる方もいますよね。
厚生労働省の職業情報サイト job tag の「システムエンジニア(受託開発)」(2025年11月時点の掲載の写し)を見てみましょう。特に学歴や資格は必要とされない、と書かれています。仕事をしながら基本情報技術者試験や応用情報技術者試験を受ける人もいる、という書き方です。
同じく job tag の「プロジェクトマネージャ(IT)」では、能力を証明するものとしてIPAのプロジェクトマネージャ試験などが挙げられています。資格は「必須の免許」ではなく、「力を示す材料」と考えるとしっくりきます。
資格が役に立つ3つの場面
- 未経験や経験の浅い時期に、基礎の知識があると伝えたい時
- 担当工程を広げたいと上司に相談する時の材料にしたい時
- 要件定義や設計の考え方を、体系立てて学び直したい時
逆に、資格だけで要件定義ができるようになるわけではありません。業務を聞き取って文書にまとめる経験と、セットで考えるのがおすすめです。
情報処理技術者試験を3段の地図で見る
情報処理技術者試験は「基礎(ITパスポート・基本情報)」「応用(応用情報)」「上流の専門(システムアーキテクト・プロジェクトマネージャなど)」の3段で考えると、自分の位置と次の一歩が見えます。
IPAの試験はたくさんあって、名前だけ見ても違いが分かりにくいですよね。ここでは編集部が要件定義との距離で3段に並べてみました。

| 段 | 試験 | IPAの試験要綱でのレベル | 対象者像(要約) |
|---|---|---|---|
| 基礎 | ITパスポート試験 | 要綱でのレベル表記は確認できず | ITに関する共通的な基礎知識をもち、仕事でITを活用していく人 |
| 基礎 | 基本情報技術者試験 | レベル2に相当 | ITを使ったシステムやソフトウェアを作る人に必要な基本的な知識・技能をもつ人 |
| 応用 | 応用情報技術者試験 | レベル3に相当 | 応用的な知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した人 |
| 上流の専門 | システムアーキテクト試験 | レベル4の前提要件 | 必要な要件を定義し、アーキテクチャを設計し、開発を主導する人 |
| 上流の専門 | プロジェクトマネージャ試験 | レベル4の前提要件 | プロジェクトの目的の実現に向けて、責任をもってプロジェクトマネジメント業務を担う人 |
| 上流の専門 | ITストラテジスト試験 | レベル4の前提要件 | 経営戦略に基づいて、ITを活用した基本戦略を策定・提案・推進する人 |
基礎の段:ITパスポート・基本情報
ITパスポート試験は、ITを使う全ての社会人向けの試験です。発注側として要件をまとめる立場の方や、IT以外の仕事から移りたい方の最初の一歩になります。
基本情報技術者試験は、システムを作る側の基本を問う試験です。開発の流れや設計の考え方の土台が身に付くので、要件定義書や設計書を読む力にもつながります。
応用の段:応用情報
応用情報技術者試験は、基本情報の次の段です。IPAの試験要綱では「高度IT人材としての方向性を確立した者」が対象者像とされていて、上流の専門の段へ進む前の足場にあたります。
『上流工程を目指すなら、まずどこまで取ればいい?』と聞かれたら、編集部は応用情報を一つの目安にしています。ここまで来ると、上流の専門の試験に進む準備が整います。
上流の専門の段:システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ
上流の専門の段は、どんな立場で上流に関わりたいかで選びます。要件を決めて設計を主導したいならシステムアーキテクト、プロジェクト全体をまとめたいならプロジェクトマネージャが近い試験です。
今の自分に合う段の選び方
『自分はどの段から始めればいいの?』と迷った時は、今の状況から考えてみてください。編集部が考えた目安を表にしてみました。
| 今の状況 | まず受ける試験の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| IT以外の仕事で、ITの言葉に慣れたい | ITパスポート | 発注側・利用者側に必要な共通の基礎がそろう |
| 開発の仕事に就いたばかり | 基本情報 | 設計書やテスト仕様書を読む土台になる |
| 設計書を一人で書けるようになってきた | 応用情報 | 上流の話題に触れながら次の段の準備ができる |
| 要件定義や設計を任され始めた | システムアーキテクト | 対象者像が今の仕事にいちばん近い |
| チームやプロジェクトをまとめ始めた | プロジェクトマネージャ | 計画と進め方の責任をもつ立場に近い |
上流工程の全体像は上流工程とは?要件定義・設計ができるエンジニアになる道筋で紹介しています。
要件定義に一番近いのはシステムアーキテクト試験
IPAの試験要綱で「要件を定義し」と書かれているのはシステムアーキテクト試験です。ITストラテジストは提案する側、プロジェクトマネージャはプロジェクトをまとめる側と考えると違いがつかめます。
システムアーキテクト試験の対象者像は、「ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導する者」です。まさに要件定義書を作る立場そのものなんです。
ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャの違い
知恵袋でも『この3つの仕事内容の違いが分からない』という相談がよく読まれています。それぞれの対象者像を、開発の流れに沿って並べてみましょう。
| 試験 | 開発の流れでの立ち位置 | 仕様書との関わり |
|---|---|---|
| ITストラテジスト | 経営戦略からITの基本戦略を考え、提案する | 企画書やシステム化の構想を書く |
| システムアーキテクト | 提案を受けて要件を定義し、設計して開発を主導する | 要件定義書や設計書を書く・まとめる |
| プロジェクトマネージャ | プロジェクト全体の計画を立て、進め方に責任をもつ | 計画書や進捗の報告、合意の記録をまとめる |
- 業務を聞き取って要件にまとめるのが好き
- 設計の筋道を考えるのが好き
- 技術と業務の両方に関わりたい
- 人や予定の調整が得意
- 全体の進み具合を見るのが好き
- チームを率いる役割を目指したい
どちらが上ということはありません。今の仕事で自分がどちらに時間を使っているかを振り返ると、選びやすくなりますよ。
応用情報からいきなり受けてもいい?
『応用情報を取ったら、すぐシステムアーキテクトに挑戦していい?』と迷う方もいますよね。
上流の専門の試験は、対象者像が実際に要件を決めたり設計したりする人なので、その立場で考える問いが出ると考えておきましょう。要件定義書を読んだり、一部を書いたりした経験があると、問いの意味がつかみやすくなります。
受験の前に知っておきたい日程・手数料・合格率
受験手数料は全区分共通で7,500円です。令和8年度からは応用情報や高度試験もCBT方式に移り、2027年度からは新しい試験制度に移る予定なので、IPAのサイトで最新の案内を確かめてから申し込みましょう。
ここからは、申し込みの前に押さえておきたい数字を見ていきます。数字は2026年10月時点でIPAのサイトに載っていたものです。
受験手数料と実施方式
IPAの「スケジュール、手数料など」では、受験手数料は「7,500円(情報処理技術者試験は消費税込み。情報処理安全確保支援士試験は非課税。)」と全区分共通で書かれています。
| 試験 | 令和8年度(2026年度)の実施方式 |
|---|---|
| ITパスポート・基本情報 | 年間を通じてCBT方式で実施 |
| 応用情報・情報処理安全確保支援士 | CBT方式で年2回(前期・後期) |
| ITストラテジスト・システムアーキテクト など | CBT方式で年1回(前期) |
| プロジェクトマネージャ など | CBT方式で年1回(後期) |
科目の名前も変わっています。
「午前試験」は「科目A試験」、「午後試験」は「科目B試験」になりました。IPAは、問う知識・技能の範囲や出題形式、出題数、試験時間は変わらないと説明しています。
令和8年度の日程
前期は申込受付が2026年10月6日から始まり、システムアーキテクト試験などの科目A-1・A-2は10月17日から10月27日です。プロジェクトマネージャ試験などの後期は、申込受付が2027年1月27日からの予定です。
従来の春期の区分は「前期試験」として2026年11月頃、秋期の区分は「後期試験」として2027年2月頃に実施予定とされています。季節の呼び方が変わったので、昔の情報と混ざらないよう気をつけてください。
合格率の見方
IPAの推移表(令和7年度)から、合格率(合格者数を受験者数で割った値)を並べてみます。
| 試験 | 年度・期 | 合格率 |
|---|---|---|
| ITパスポート | 令和7年度(年度計) | 48.6% |
| 基本情報技術者 | 令和7年度(年度計) | 38.3% |
| 応用情報技術者 | 令和7年度(年度計) | 23.4% |
| システムアーキテクト | 令和7年度春期 | 15.5% |
| ITストラテジスト | 令和7年度春期 | 15.0% |
| プロジェクトマネージャ | 令和7年度秋期 | 14.3% |
段が上がるほど合格率は下がっていきます。上流の専門の段は、合格率の数字だけで身構えず、自分の仕事の経験と重ねながら準備するのがおすすめです。
2027年度からの新試験制度
IPAは「2027年度から新試験制度に移行することを予定しています」と案内しています。サンプル問題やシラバスも公開されていますが、新しい区分の名前や手数料の確定内容は、この記事を書いた時点では確かめられていません。
古い年度の記事を見て「午後Ⅱ」「春期」などの言葉で準備を進め、申し込みの時期を逃してしまうことがあります。試験を決めたら、まずIPAの最新の案内で日程と申込期間を確かめてください。
資格と実務を組み合わせて上流へ進む
資格は、仕事の経験と組み合わせると力を発揮します。基礎の段で土台を作り、要件定義書や設計書に触れる経験を積みながら応用、上流の専門へと進むのが無理のない順番です。
job tag の「システムエンジニア(受託開発)」では、一般的には3年目頃に一人で詳細設計を書けるようになり、5年目頃に基本設計を含めた開発全体ができるようになる、と書かれています。資格の段も、この歩みに合わせて考えると無理がありません。

- ITパスポートか基本情報で、ITの基本の言葉をそろえる
- 今の仕事で、設計書やテスト仕様書を読む・直す経験を積む
- 応用情報で、プロジェクトの進め方や企画の考え方まで広げる
- 要件定義の聞き取りや文書作りを、一部でも担当させてもらう
- 目指す立場に合わせて、システムアーキテクトかプロジェクトマネージャを受ける
4番目の一歩は、自分から声をかけないと回ってこないことも多いです。例えばこんなふうに上司に相談してみてください。
「応用情報の勉強で要件定義の考え方を学んだので、次の改修で聞き取りに同席させてもらえませんか?」
「要件定義書の非機能要件の所だけでも、下書きを担当させてください」
建設やほかの仕事の資格を持っている人は
建設の仕事で、盛土の施工や土木工事の共通仕様書の決まりを覚えて、施工管理の資格試験に向き合ってきた方もいますよね。仕様書を読んで決まりを守る経験は、ITの仕様書にもつながります。
ITの資格は基礎の段から始めて、今までの経験とあわせて伝えるのがおすすめです。建設の経験の活かし方は建設・設備の仕事からITへ|仕様書を扱う経験の活かし方で紹介しています。
社内SEや発注側を目指す人は
社内の情報システム部門で、発注側として要件をまとめる仕事を目指す方もいますよね。その場合も、ITパスポートや基本情報で開発側の言葉が分かるようになると、外注先との打合せがぐっと楽になります。
発注側の仕事の中身は社内SEと仕様書|発注側として要件をまとめる仕事で紹介しています。
職務経歴書には資格と経験を並べて書く
資格は、取った年月と一緒に、それを仕事でどう使ったかを書くと伝わりやすくなります。
| 書き方 | 伝わり方 |
|---|---|
| 応用情報技術者試験 合格 | 知識があることは伝わる |
| 応用情報技術者試験 合格。社内の申請システムの改修で、要件の聞き取りと要件定義書の一部を担当 | 知識を仕事で使えることまで伝わる |
要件定義の資格でよくある相談
知恵袋でよく読まれているのは「文系でSIerを目指すなら、どの資格から?」「システムアーキテクト試験は実務経験なしでも受かる?」「高度試験で比較的取りやすいのは?」といった相談です。
ここからは、知恵袋でよく読まれている相談を要約して答えてみますね。
相談1:文系の大学生。SIerを目指すなら、どの資格から?
『文系の大学生で、SIer志望。要件定義などの仕事を調べたけど、まず何をすればいい?』という相談です。
まずは基礎の段から始めてみてください。ITパスポートでITの言葉に慣れ、余裕があれば基本情報まで進むと、開発の流れが見えてきます。
job tag でも、SEには文系出身者も多いと書かれています。
資格に加えて、大学のレポートやサークルの資料作りで「聞いてまとめる」経験を意識しておくと、面接でも話しやすくなりますよ。未経験からの道筋は未経験からITエンジニアへ|仕様書が読める・書ける人になるまでで紹介しています。
相談2:システムアーキテクト試験は実務経験なしでも受かる?
『システムアーキテクト試験は、実務経験をもとに答える問題があると聞いた。経験がなくても受かるの?』という相談です。
対象者像が「要件を定義し、アーキテクチャを設計し、開発を主導する者」なので、問いもその立場で考えることが求められます。経験がないと、問いの場面を思い浮かべるのに苦労しやすいのは確かです。
ただ、要件定義書や設計書を読んだ経験、一部を直した経験でも、考える材料になります。小さな改修でも、担当した仕事を「何を決めて、なぜそうしたか」の形で書き出しておくと役に立ちますよ。
相談3:高度試験の中で、比較的取りやすいのはどれ?
『高度試験のうち、比較的簡単なものから受けたい』という相談です。
令和7年度の合格率を見ると、システムアーキテクトは春期で15.5%、プロジェクトマネージャは秋期で14.3%と、大きな差はありません。合格率で選ぶより、自分の仕事に近い試験を選ぶ方が、学んだことを仕事にも活かせます。
相談4:応用情報や高度試験の日程はもう出ている?
『応用情報やシステムアーキテクトなど、高度試験の日程や申込みの日程は告知されている?』という相談です。
2026年10月時点では、令和8年度前期の日程がIPAのサイトに出ています。CBT方式に変わり、科目ごとに受験の期間が決められているので、申込期間と受験期間の両方を確かめておきましょう。
要件定義や設計の経験は、上流工程を任される職場で評価されやすいものです。
資格を取って今の担当工程から一歩進みたい方は、求人の仕事内容を比べてみると道が見えてきます。資格を取ってから今の職場で担当を広げてもらう道も、もちろんありです。
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よくある質問
要件定義の資格はどれがおすすめですか?
要件定義にいちばん近いのは、IPAのシステムアーキテクト試験です。ただし難しい試験なので、ITパスポートや基本情報、応用情報と段を上がりながら目指すのが無理のない順番です。
情報処理技術者試験の受験手数料はいくらですか?
IPAの案内では、全区分共通で7,500円(情報処理技術者試験は消費税込み、情報処理安全確保支援士試験は非課税)です。申し込みの前にIPAのサイトで最新の案内を確かめてください。
資格がないと要件定義の仕事はできませんか?
job tag の「システムエンジニア(受託開発)」では、特に学歴や資格は必要とされないと書かれています。資格は力を示す材料の一つで、経験と組み合わせると伝わりやすくなります。
午後試験はなくなったのですか?
令和8年度から科目の名前が変わり、「午後試験」は「科目B試験」になりました。IPAは、問う範囲や出題形式、試験時間は変わらないと説明しています。
まとめ
- 要件定義の仕事に資格は必須ではないが、力を示す材料になる
- 情報処理技術者試験は基礎・応用・上流の専門の3段で考える
- 要件定義にいちばん近いのはシステムアーキテクト試験
- 受験手数料は全区分共通で7,500円、令和8年度からCBT方式に移行
- 資格は仕事の経験と組み合わせて伝える





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