システムエンジニアの年収|公的統計で見る職種別の目安

システムエンジニアの年収を公的統計で読む記事のアイキャッチ。机に統計表のプリントと電卓、ノートPCが並ぶ

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『システムエンジニアの年収って、実際どのくらいなの?』と気になっている方も多いはずです。ネットで調べると数字がバラバラで、どれを信じればいいか迷いますよね。

結論から言うと、システムエンジニアの年収は「どの統計の、どの区分を、どう計算したか」で数字が変わります。

この記事を読めば、公的な統計で見たSEの年収の目安と、その数字の正しい読み方が分かります。

目次

システムエンジニアの年収は?公的統計で見る目安

先に結論

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとに計算すると、「システムコンサルタント・設計者」は約889万円、「ソフトウェア作成者」は約578万円です。どちらも統計表の数字から計算した値で、統計表にそのまま載っている年収ではありません。

『SEって一つの職種じゃないの?』と思いますよね。実は、国の統計ではSEという名前の区分はなく、近い仕事が2つの区分に分かれているんです。

令和7年賃金構造基本統計調査の数字

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(職種別・企業規模10人以上・男女計、2026年3月公開)の数字は、次のとおりです。

区分年齢勤続年数きまって支給する現金給与額(月)所定内給与額(月)年間賞与その他特別給与額
システムコンサルタント・設計者38.3歳11.9年542.1千円506.8千円2,385.2千円
ソフトウェア作成者37.1歳9.9年390.8千円356.8千円1,095.1千円

表の「千円」は、月の給与や年間の賞与を千円単位で書いたものです。例えば542.1千円は、月に約54万円という意味になります。

年収は計算の仕方で変わる

統計表には「年収」という欄はありません。そこで、月の給与を12倍して、年間の賞与を足して年収の目安を出します。

ここで迷うのが、月の給与にどの数字を使うかです。残業代を含む「きまって支給する現金給与額」を使うか、含まない「所定内給与額」を使うかで、結果が変わります。

区分方法A(残業代を含む)方法B(残業代を含まない)
計算式きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額
システムコンサルタント・設計者約889万円約847万円
ソフトウェア作成者約578万円約538万円
補足

方法Aで計算したシステムコンサルタント・設計者の約889万円は、厚生労働省の職業情報サイト「job tag」の「プロジェクトマネージャ(IT)」に載っている令和7年の年収889万円と一致します。job tag も同じ考え方で計算していると読み取れます。

システムエンジニアの年収を統計表で確かめている場面の写真

仕様書を書く仕事はどちらの区分?

要件定義や設計書を書くSEは、「システムコンサルタント・設計者」に近い仕事です。設計書をもとにプログラムを作る仕事は、「ソフトウェア作成者」に近いと考えると分かりやすいですよ。

ただ、実際の職場ではSEがプログラムも書くことが多く、統計の区分と仕事の中身はぴったり重なりません。自分の仕事がどちら寄りかを考えて、目安として見るのがおすすめです。

年収は4つの切り口で読むと分かりやすい

ここでの結論

SEの年収の数字は、「職種(統計の区分)」「年齢と経験」「工程(上流・下流)」「働き方」の4つの切り口で読むと、自分に当てはめやすくなります。平均の数字を1つだけ見ても、自分の場合は分かりません。

『平均年収が出ているなら、それが相場でしょ?』と思う方もいますよね。ただ、平均には年齢も働き方も違う人がまとめて入っているんです。

システムエンジニアの年収を職種の区分・年齢と経験・工程・働き方の4つの切り口で読む方法の図解
切り口何で数字が変わる?統計で確かめられること自分に当てはめる時の見方
職種(統計の区分)設計者か、ソフトウェア作成者か賃金構造基本統計調査の区分ごとの数字自分の仕事がどちら寄りか考える
年齢と経験年齢・勤続年数区分ごとの平均年齢と平均勤続年数平均年齢との差を意識して読む
工程(上流・下流)要件定義・設計を任されるか区分の違いとして間接的に見える担当工程が広がると区分も近づく
働き方残業の多さ・賞与の有無方法Aと方法Bの差、賞与の欄月給だけでなく賞与と残業を分けて見る

職種:区分の違いが一番大きい

上の表で一番差が大きいのは、統計の区分です。システムコンサルタント・設計者とソフトウェア作成者では、年間賞与だけで見ても倍以上の差があります。

要件定義や設計を任される仕事に近づくほど、統計上は年収の高い区分に近づくと読めます。

年齢と経験:平均年齢を意識する

システムコンサルタント・設計者の平均年齢は38.3歳、ソフトウェア作成者は37.1歳です。20代の方が平均の年収と比べて「低い」と感じるのは、年齢の差が大きいことも理由です。

勤続年数も、システムコンサルタント・設計者は11.9年、ソフトウェア作成者は9.9年と、どちらも長めです。経験を積んだ人の数字が平均を押し上げていると考えておくと、落ち込まずにすみますよ。

男女別の数字も見ておく

同じ統計には、男女別の数字も載っています。平均年齢が違うので、そのまま比べるより「年齢の差もある」と意識して読むのがおすすめです。

区分性別年齢きまって支給する現金給与額(月)年間賞与その他特別給与額
システムコンサルタント・設計者男39.9歳559.8千円2,607.9千円
システムコンサルタント・設計者女34.1歳493.5千円1,776.1千円
ソフトウェア作成者男38.0歳402.9千円1,145.4千円
ソフトウェア作成者女33.6歳347.0千円912.1千円

工程:上流を任されるか

工程そのものは統計の区分にありません。ただ、要件定義や設計を任される人は「設計者」に近く、作る工程が中心の人は「作成者」に近いので、間接的に差が見えます。

例えば、同じ会社で同じ年数働いていても、テスト中心の人と設計書を書く人では、任される範囲が違いますよね。評価の面談で「どの工程を一人で担当したか」を話せるかどうかも、給与の話に関わってきます。

上流工程の中身と、そこへ進む段階の目安は上流工程とは?で紹介しています。

働き方:残業と賞与を分けて見る

方法Aと方法Bの差は、残業代などの分です。どちらの区分も数十万円の差があり、残業の多さが年収に表れていることが分かります。

区分所定内実労働時間数(月)超過実労働時間数(月)
システムコンサルタント・設計者173時間11時間
ソフトウェア作成者159時間12時間

job tag の職業別に見ると

ここでの結論

job tag では、職業ごとに年収の目安が載っています。ただし、どの年の統計を使っているかが職業ページごとに違うので、年版を見比べてから読むのがコツです。

『job tag の数字と、さっきの統計の数字、どっちが正しいの?』と迷いますよね。どちらも元は同じ賃金構造基本統計調査で、使っている年と区分が違うだけなんです。

job tag の職業名(写しの時点)年収年齢もとになった統計
システムエンジニア(受託開発)(2025年11月)574.1万円38歳令和6年賃金構造基本統計調査を加工
ソフトウェア開発(パッケージソフト)(2025年3月)557.6万円38.6歳令和5年賃金構造基本統計調査を加工
プロジェクトマネージャ(IT)(2026年10月)889万円38.3歳令和7年賃金構造基本統計調査を加工
システムエンジニア(基盤システム)(2026年9月)889万円38.3歳令和7年賃金構造基本統計調査を加工
読む時の注意

job tag の統計データには、その職業だけの数字を表しているとは限らない、という注記があります。プロジェクトマネージャと基盤システムのSEが同じ数字なのは、同じ統計の区分を使っているためと考えられます。

1時間当たりで見ると

job tag の「プロジェクトマネージャ(IT)」には、1時間当たりの賃金も載っています。令和7年賃金構造基本統計調査をもとに、一般労働者で4,026円、短時間労働者で2,560円です。

働く時間が違う人どうしを比べる時は、1時間当たりの数字も参考になります。

スキルの段階別の目安

job tag の「プロジェクトマネージャ(IT)」には、厚生労働省が2023年度に行った委託調査の、スキルレベル別の給与も載っています。企画立案・プロジェクト管理の仕事で、ITSSレベル3が600.0万円~900.0万円、レベル4が650.0万円~950.0万円です。

レベルが上がるほど下限も上限も上がっていて、任される範囲の広さが給与に表れていると読めます。

ハローワークの求人に出ている月給

job tag には、ハローワークの求人に出ている月額の賃金も載っています。プロジェクトマネージャ(IT)は40.4万円、システムエンジニア(基盤システム)は35.3万円(いずれも令和7年度の表示)です。

システムエンジニア(受託開発)は、令和6年度の表示で35.2万円でした。求人の月給は賞与を含まないので、年収の数字とは分けて見てくださいね。

求人の多さと、これからの需要

ここでの結論

厚生労働省の統計では、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は令和8年8月に1.33倍で、職業計の1.06倍より高い状態です。経済産業省は2019年に、2030年のIT人材の不足を試算しています。

『IT業界は人手不足って聞くけど、本当?』と思う方も多いはずです。公的な数字で確かめてみましょう。

統計数字区分・時点
有効求人倍率(情報処理・通信技術者)1.33倍職業安定業務統計・常用(パート含む)・令和8年8月
有効求人倍率(同・パート除く)1.48倍同・常用(パート除く)・令和8年8月
有効求人倍率(職業計)1.06倍同・常用(パート含む)・令和8年8月

経済産業省の2019年の試算

経済産業省が2019年にまとめた「IT人材需給に関する調査」では、2030年のIT人材の需要と供給の差を試算しています。労働生産性が毎年0.7%上がる前提で、中位シナリオ(需要の伸び年平均約2.7%)だと約45万人です。

高位シナリオ(需要の伸び年平均約4.4%)では約79万人、低位シナリオでは約16万人とされています。あくまで2019年時点の前提で計算した試算なので、今の不足の人数とは分けて読みましょう。

補足

同じ試算では、中位シナリオで年3.54%の労働生産性の上昇を実現すれば、2030年の需要と供給はつり合うとも書かれています。働き方や道具が変われば、必要な人数も変わるということです。

よくある相談:SEの年収は低い?上がる?

ここでの結論

「平均年収が思ったより低い」「今後上がるのか」「自分の年収は妥当か」という相談がよく見られます。答えは、区分・年齢・働き方をそろえて比べると見えてきます。

『自分の年収、周りと比べて低いのかな』と不安になりますよね。Q&Aサイトでよく見かける相談を、要約してお答えします。

相談1:調べた平均年収が思ったより低い

SEの平均年収を調べたら、イメージより低かったという相談です。閲覧数が多く、同じ疑問を持つ方が多いことが分かります。

調べた数字が、どの統計のどの区分かを確かめてみてください。この記事で見たとおり、統計の区分や計算の仕方で数百万円単位の差が出ます。

相談2:経験5年目で転職する時、妥当な年収は?

5年目くらいのSEが転職する時、どのくらいの年収が妥当かという相談もありました。公的な統計で年数ごとの相場は出せませんが、考え方はあります。

job tag の「システムエンジニア(受託開発)」では、5年目頃に基本設計を含む開発全体ができるようになると紹介されています。どこまでの工程を一人で任されてきたかを、具体的に説明できるかが大事です。

相談3:新卒の年収は恵まれている方?

内定先の新卒の給与が、SEとして恵まれているのか知りたいという相談もありました。統計の平均は30代後半の人が中心なので、新卒の数字とそのまま比べるのは難しいです。

新卒の時は、金額そのものより、研修の長さや最初に任される工程を見ておくのがおすすめです。job tag では、新卒は入社後3~4ヵ月の新人研修の後、配属後2年ほどOJTで学ぶと紹介されています。

相談4:SEの年収はこれから上がる?

IT業界は人材不足と言われるけれど、年収は上がるのかという相談です。先のことを言い切ることはできません。

ただ、有効求人倍率は令和8年8月の時点で職業計より高い状態です。需要のある工程の経験を積んでいくことが、年収を考える上でも大事になりそうです。

自分の年収を統計と比べる時のチェック
  • 比べる統計の区分(設計者か作成者か)を決めたか
  • 自分の年齢と、統計の平均年齢の差を意識したか
  • 賞与を含めた年収で比べているか
  • 残業代を含むか含まないかをそろえたか

年収を上げたい時に考えること

ここでの結論

年収を上げる道は、担当工程を広げる、資格で知識を形にする、評価される職場へ移るの3つが中心です。どれか1つでなく、組み合わせて考える方が現実的です。

『今の会社にいても、年収が上がる気がしない』という方もいますよね。まずは、自分が今どの工程まで担当しているかを書き出すところから始めてみましょう。

システムエンジニアが年収を上げるために担当工程を広げ資格を取り職場を比べる流れの図解
年収を見直す進め方
  1. 今担当している工程と、書いている文書を書き出す
  2. 統計の区分のどちらに近い仕事かを考える
  3. 次に任されたい工程を決める
  4. 社内で任せてもらえるかを上司に相談する
  5. 難しければ、求人の仕事内容と担当工程を比べてみる

担当工程を広げる

設計書を書く、要件定義に入るなど、担当工程が広がると「設計者」の仕事に近づきます。今の職場でチャンスがあるなら、まずは手を挙げてみるのが近道です。

資格で知識を形にする

IPAの情報処理技術者試験には、要件定義や設計、プロジェクト管理を担う人向けの区分があります。どの試験から始めればいいかは仕様書・設計に役立つIT資格で紹介しています。

職場を移る

今の会社では上流の工程を担当できない、ということもあります。その場合は、職場を移ることで担当工程が変わり、年収の見え方も変わることがあります。

求人を比べる時は、月給の金額だけで決めないことが大事です。次の項目を並べてみると、入ってからの「思っていたのと違う」を減らせます。

求人の給与欄で確かめること
  • 月給に固定の残業代が含まれていないか
  • 賞与の有無と、支給の回数
  • 担当する工程が要件定義・設計まであるか
  • 資格を取った時の手当や、受験の支援があるか

要件定義や設計書を書く経験は、上流工程を任される職場で評価されやすいものです。今の担当工程から一歩進みたい方は、求人の仕事内容を比べてみると道が見えてきます。

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よくある質問

SEの年収は公的な統計で分かりますか?

厚生労働省の賃金構造基本統計調査に「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」の区分があり、月の給与と年間賞与から目安を計算できます。SEという名前の区分はありません。

社内SEの年収の公的な統計はありますか?

社内SEだけをまとめた公的な統計は見当たりませんでした。仕事の中身に近い区分の数字を目安にするのが現実的です。

job tag の年収と、自分で計算した年収が違うのはなぜですか?

使っている統計の年版や区分、計算に使う給与の欄が違うことが多いです。年版と計算方法をそろえると、数字が一致することもあります。

賃金構造基本統計調査の数字はどこで見られますか?

政府統計の総合窓口のe-Statで、職種別の表を見られます。年版ごとに表が分かれているので、令和7年の表かどうかを確かめてから読んでみてください。

年収の高い区分に近づくには何をすればいいですか?

要件定義や設計など、上流の工程を任されることが一つの道です。今の職場で担当を広げるか、上流を任せる職場を探すかを考えてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 令和7年賃金構造基本統計調査から計算すると、システムコンサルタント・設計者は約889万円、ソフトウェア作成者は約578万円(残業代を含む方法)
  • 年収は統計の区分と計算の仕方で変わるので、数字の出どころを確かめる
  • 「職種」「年齢と経験」「工程」「働き方」の4つの切り口で読むと自分に当てはめやすい
  • 情報処理・通信技術者の有効求人倍率は令和8年8月に1.33倍で、職業計より高い
  • 年収を上げる道は、担当工程を広げる・資格・職場を移るの組み合わせ
仕様書ドットコム

仕様書ドットコム 編集部

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