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工場や施設で機械を入れ替えることになり、『購入の仕様書を書いて』と頼まれて困っていませんか。カタログを見ながら書き始めても、何を決めればいいのか迷いますよね。
結論から言うと、機械の購入仕様書は「必要な性能」「設置する場所の条件」「据付と試運転」「保守」の4項目で書けば、大きな抜けは防げます。
この記事を読めば、機械や設備の仕様書の書き方と、テンプレートを使う時の注意が分かります。
機械・設備の購入仕様書とは?
購入仕様書は、買う側が「こういう条件の機械が欲しい」と売る側に伝える文書です。メーカーが作る製品の仕様書とは、書く人と向きが逆になります。
『メーカーのカタログに仕様は全部載っているのに、なぜ自分で書くの?』と思う方も多いはずです。
カタログに載っているのは、その機械ができることです。購入仕様書に書くのは、自分たちの現場で必要なことなんです。この2つを突き合わせて、合う機械を選ぶ流れになります。
| 文書 | 書く人 | 書く中身 |
|---|---|---|
| 製品の仕様書・カタログ | メーカー | その機械の性能や寸法 |
| 購入仕様書 | 買う会社や役所 | 現場で必要な性能や条件 |
| 承認図・納入仕様書 | 売る側 | 納める機械が条件に合うことを示す図や書類 |
メーカー側の製品仕様書の書き方は製品仕様書とは?で紹介しています。仕様書そのものの意味は仕様書とは?でまとめています。
購入仕様書は4項目で書く
機械の購入仕様書は「必要な性能」「設置する場所の条件」「据付と試運転」「保守」の4項目に分けると、売る側が見積もりを出しやすくなります。
カタログの仕様欄は「性能」の話が中心ですよね。ただ、機械を買って困るのは、置き場所や据付、買った後の保守の方だったりします。
そこで編集部では、購入仕様書を4項目の記入表で組むことをおすすめしています。
| 項目 | 書くことの例 | 書く時のヒント |
|---|---|---|
| 必要な性能 | 処理する物、量、速さ、精度、使う時間の長さ | 「何をどれだけ処理したいか」から書く |
| 設置する場所の条件 | 置き場所の広さ、床の強さ、搬入の経路、電源、給排水、周りの温度や湿気 | 図面と写真を付けると伝わりやすい |
| 据付と試運転 | 搬入と据付をどちらがやるか、試運転の方法、合格の決め方、操作の説明 | 「何が確かめられたら受け取るか」を書く |
| 保守 | 点検の頻度、消耗品の供給、故障した時の連絡、部品を持つ期間の考え方 | 買った後に誰が何をするかを書く |

必要な性能は「やりたいこと」から書く
性能の欄に、カタログの数字をそのまま写すのはおすすめしません。特定の機械に合わせた書き方になりやすいからです。
まずは「この材料を、この量だけ、この時間で処理したい」という現場の目的を書いてみてください。そこから、最低限必要な性能を数値で決めていきます。
設置する場所の条件は見落としやすい
『機械は決まったのに、入口から入らなかった』ということも起きがちです。搬入の経路と、置き場所の床や電源は早めに書き出しておきましょう。
- 置き場所の広さと、点検のための空き
- 床が重さに耐えられるか
- 搬入口と通路の幅、エレベーターの大きさ
- 電源の種類と容量、給排水や排気の有無
- 周りの温度・湿気・ほこりの状態
据付と試運転は「受け取りの条件」になる
試運転で何を確かめたら合格とするかを書いておかないと、受け取りの時に話がまとまりません。性能の欄に書いた数値を、試運転でどう確かめるかを対にして書くのがコツです。

保守は買った後の安心につながる
保守の欄は、買った後に困らないための項目です。点検を誰がするか、故障した時にどこへ連絡するかを書いておきます。
消耗品や交換部品をどこから買えるかも、ここで確かめておきたい所です。長く使う機械ほど、部品がいつまで手に入るかが気になりますよね。
記入例:架空の箱詰めの機械を買う場合
ここでは、編集部が作った架空の例で4項目を埋めてみます。実在の機械ではないので、数値は書かず、書き方の形だけ見てください。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 必要な性能 | 決めた大きさの箱に、決めた数の製品を、決めた時間内に詰められること。 |
| 設置する場所の条件 | 別紙の平面図の位置に置く。搬入は別紙の経路による。電源は既設の分電盤から取る。 |
| 据付と試運転 | 搬入・据付・試運転は売る側が行う。実際の製品で決めた時間動かし、性能の欄の条件を満たせば合格とする。 |
| 保守 | 操作の説明を受け取りの時に行う。故障した時の連絡先と、消耗品の買い方を書類で示す。 |
例えば、売る側との打合せではこんなやり取りになります。
「試運転は、うちの実際の製品で確かめたいのですが、できますか。」
「できます。製品のサンプルを事前にお預かりして、同じ条件で動かしますね。」
設備の仕様書の書き方とテンプレートの使い方
設備の仕様書テンプレートは、表紙・目的・適用範囲・4項目・提出してほしい書類・検査の順に並べると使い回しやすくなります。テンプレートの行は、自分の設備に合わない物を消してから使います。
設備の仕様書の書き方を探していて、『ひな形をもらったけど、項目が多すぎる』という方もいますよね。次の並びを目次代わりにしてみてください。
- 目的と、入れ替える理由を1〜2文で書く
- 対象の機械と、仕様書の適用範囲を書く
- 4項目の記入表を埋める
- 売る側に出してほしい書類を書く(承認図・取扱説明書・試験の記録など)
- 検査と受け取りの条件を書く
- 売る側の目線で読み直し、見積もりが出せるか確かめる
「十分な能力」と書かない
JIS Z 8301:2019(規格票の様式及び作成方法)の考え方では、要求は客観的に確かめられることだけを書き、「十分に強い」のような表現は使わないとされています。
購入仕様書でも同じです。「十分な処理能力」ではなく、処理したい量と時間を数値で書き、試運転で確かめられる形にしておきましょう。
カタログの数字を全部写して仕様書を作ると、その機械しか当てはまらない仕様書になりがちです。複数の会社に見積もりを頼むなら、現場で本当に必要な条件だけに絞ってみてください。
公共工事の標準仕様書(設備)との関係
建物に付く電気や機械の設備には、国の標準仕様書があります。工場の機械を1台買う時の購入仕様書とは目的が違いますが、書き方の参考になります。
『設備の標準仕様書という物があるなら、それを使えばいいのでは?』と思いますよね。ここで違いを見ておきましょう。
国土交通省の官庁営繕では、公共建築工事標準仕様書の電気設備工事編と機械設備工事編を出しています。2026年10月時点で確認できた版は、どちらも令和7年版です。
河川や道路の管理施設の機械設備には、国土交通省の「機械工事共通仕様書(案)」(令和8年3月)があります。点検と整備には「機械設備点検・整備共通仕様書(案)」(令和8年3月)も掲載されています。
| 文書 | 主に使う場面 |
|---|---|
| 公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編・機械設備工事編) | 官庁施設などの建物の設備工事 |
| 機械工事共通仕様書(案) | 河川・道路の管理施設のポンプや水門などの機械設備 |
| 購入仕様書 | 工場や事務所で機械を買う時 |
標準仕様書の「材料の選び方」は購入仕様書にも使える
国土交通省の説明では、公共建築工事標準仕様書に載せる材料や工法は、規格が標準化されていることや、全国的な市場性があること、特許や特定の企業に限定されないことなどを考えて選ばれています。
この考え方は、機械を買う時にもそのまま役立ちます。『この部品は、うちの近くでも手に入るかな』という目で仕様書を読み直すと、買った後の保守で困りにくくなりますよ。
国土交通省の説明では、標準仕様書に記載のない材料や工法を使う場合は、設計図書に特記するよう案内されています。社内の購入仕様書でも、普段と違う条件を求める時は、その理由と一緒に書いておくと伝わりやすくなります。
公共工事で使う時は、発注機関のサイトで最新の版と、特記仕様書の書き方を確かめてみてください。機械設備工事編の詳しい話は公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)で紹介しています。
よくある相談:承認図・メーカー指定・入札後の食い違い
承認図は、売る側が「この内容で作ります・納めます」と示し、買う側が確かめるための図です。メーカーを指定する書き方は、役所の調達では避けるのが基本です。
機械や設備の仕様書について、Q&Aサイトで相談されている話題を3つ取り上げますね。質問はそのまま写さず、要点だけまとめています。
相談1:仕様図と承認図の違いは?
とても多く読まれているのが、『仕様図と承認図の違いが分からない』という相談です。
呼び方は会社によって違いますが、仕様図は機械の形や仕様を示す図、承認図は売る側が提出して買う側に承認してもらう図、と分けて使われることが多いです。承認図を確かめてから製作に入る流れにしておくと、後で「思っていた物と違う」が起きにくくなります。
相談2:仕様書が特定のメーカーの物になっている
『役所の見積合わせで、仕様書が特定メーカーの機械に合わせた内容になっている』という相談もあります。
総務省の情報システム調達の実務手引書では、原則として特定の商標名を使った要求を定めないこととされています。内閣官房が掲載している政府調達の運用指針にも、商標等を特定して競争に付すことを禁じる考え方が示されています。
海上自衛隊の「同等品承認申請実施要領」のように、同等品を申請する手続を定めている機関もあります。気になる時は、発注元に同等品が認められるかを問い合わせてみてください。
相談3:入札時の仕様書と納められた物が違う
『入札の時の仕様書と、落札した会社の納めた内容が違う』という相談も見かけます。
予算決算及び会計令第101条の4では、国の検査は「契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて」行うとされています。仕様書と違う物なら、検査で指摘する根拠になります。入札の仕様書の書き方は入札の仕様書の書き方で、発注の仕様書全体は発注仕様書の書き方でまとめています。
機械の仕様をまとめる経験はITでも生きる
現場の要望を聞き取り、確かめられる条件に直して仕様書にまとめる力は、システム開発の要件定義と同じ考え方です。
『機械の購入とITは関係ないのでは?』と思うかもしれません。実は、やっていることはとても近いんです。
現場の困りごとを聞いて、必要な性能に直し、受け取りの条件を決める流れは、システムの要件定義や社内SEの仕事とも共通します。今の職場で経験を重ねるのも、資格を取ってから動くのもよい道です。ITの仕事に興味がある方は、求人の仕事内容をのぞいてみてください。
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よくある質問
機械の購入仕様書は、誰が書きますか?
一般的には買う側が書きます。現場の担当者が必要な条件を出し、調達や総務の担当がまとめる形が多いです。
設備の仕様書テンプレートは、そのまま使えますか?
骨組みとして使うのは便利です。自分の設備に合わない行は消し、置き場所や保守の条件を足してから使ってみてください。
仕様書に機械の型式を書いてもいいですか?
社内の購入なら書くこともあります。ただ、入札や見積合わせでは特定の商品名を避け、必要な性能で書くのが基本です。
中古の機械を買う時も仕様書は要りますか?
中古でも、必要な性能と置き場所の条件は書いておくと安心です。今の状態をどう確かめるか、保守を誰がするかも一緒に決めておきましょう。
承認図はいつもらえばいいですか?
製作や手配に入る前にもらって確かめるのが一般的です。仕様書に「提出してほしい書類」として書いておくと、もらい忘れを防げます。
まとめ
- 購入仕様書は、買う側が現場で必要な条件を伝える文書
- 必要な性能・設置する場所の条件・据付と試運転・保守の4項目で書く
- 性能は数値で書き、試運転で確かめる方法と対にする
- 建物の設備には公共建築工事標準仕様書の設備の編がある
- 入札や見積合わせでは特定のメーカーを指定しない





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