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自治体の仕事やシステムの仕事で「標準仕様書」という言葉が出てきて、『デジタル庁が作っているの?それとも総務省?』と迷っていませんか。業務ごとに資料がばらばらに見えて、どこから読めばいいか分かりにくいですよね。
結論から言うと、自治体システム標準化の標準仕様書は業務ごとに制度を所管する府省が作り、デジタル庁と総務省が全体をまとめる仕組みです。
この記事では、誰が何を作っているかを早見表にして、標準仕様書の中身と読み方を紹介します。
自治体システム標準化の標準仕様書とは?
自治体システム標準化の標準仕様書は、住民記録や税、介護保険などの業務で、自治体が使うシステムがそろえるべき機能や帳票、データの形を決めたものです。自治体はこの基準に合ったシステムを使うことになっています。
もとになっているのは、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和3年法律第40号)です。2021年5月に成立し、同年9月に施行されました。
この法律で、決められた業務については、標準化の基準に合ったシステム(標準準拠システム)を使うことが自治体に義務付けられています。
『自治体ごとに好きなシステムを使っていたんじゃないの?』と思った方もいるかもしれませんね。実は、だからこそ基準をそろえる仕組みが作られたんです。
誰が作っているの?
標準仕様書は、それぞれの業務の制度を所管する大臣が、省令で定める基準として作ります。法制上の措置についてはデジタル庁と総務省が共同で所管している、と総務省の資料で説明されています。
つまり、デジタル庁が全部を書いているわけではないんです。ここが、検索してもなかなか全体が見えない理由の一つですね。
| 立場 | していること |
|---|---|
| デジタル庁・総務省 | 標準化の法制上の措置を共同で所管。データ要件・連携要件の標準仕様書はデジタル庁のページで公開 |
| 制度を所管する府省 | 業務ごとの標準仕様書を作る |
| 自治体 | 標準準拠システムに移行し、使う |
誰が作る?何の業務?早見表
標準化の対象は20業務です。業務ごとに所管する府省が違うので、「誰が作る」「何の業務」「自治体は何をする」の3つで並べると迷いません。
総務省の資料(2023年11月時点)をもとに、所管と版を並べてみます。版は同じ資料の時点のものなので、今の最新版は各府省やデジタル庁のサイトで確かめてみてください。

| 誰が作る(所管府省) | 何の業務(標準仕様書と版) | 自治体は何をする |
|---|---|---|
| 総務省 | 住民記録システム【第4.0版】、戸籍附票システム【第2.0版】、印鑑登録システム【第3.0版】、選挙人名簿管理システム【第1.2版】 | 窓口の業務と帳票を標準に合わせる |
| 総務省(自治税務局) | 税務システム【第2.1版】(固定資産税・個人住民税・法人住民税・軽自動車税) | 税の業務の流れを標準に合わせる |
| 法務省 | 戸籍情報システム【第1.0版】 | 戸籍の事務を標準に合わせる |
| 文部科学省 | 就学事務システム【第2.1版】 | 学齢簿などの事務を標準に合わせる |
| こども家庭庁 | 子ども・子育て支援システム【第1.1版】、児童手当システム【第1.1版】 | 子育て関係の事務を標準に合わせる |
| 厚生労働省 | 児童扶養手当、国民健康保険、国民年金、後期高齢者医療、生活保護、健康管理(各【第1.1版】)、障害者福祉【第2.1版】、介護保険【第2.1版】 | 福祉・保険の事務を標準に合わせる |
厚生労働省は、所管する標準仕様書の数がいちばん多い府省です。介護保険や健康管理など、住民に身近な業務がたくさん入っています。
対象の20業務
基本方針に並んでいる順に書くと、次の20業務です。
- 児童手当、子ども・子育て支援、住民基本台帳、戸籍の附票、印鑑登録
- 選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税
- 戸籍、就学、健康管理、児童扶養手当、生活保護
- 障害者福祉、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療、国民年金
デジタル庁の標準仕様書のページの要約では、40の各論文書とされています。基本方針の20業務を細かく分けた数と考えられますが、はっきりとは確かめられていません。
標準仕様書には何が書いてある?
標準仕様書には、業務の流れと、システムが持つべき機能・画面・帳票・データ・連携の決まりが書かれています。システム開発の要件定義書に近い中身なんです。
総務省の資料では、標準仕様書の構成は次のように説明されています。
| 章 | 中身 |
|---|---|
| 1. 業務フロー | 業務の流れ |
| 2.1 機能要件 | システムが持つべき機能 |
| 2.2 画面要件 | 画面の決まり |
| 2.3 帳票要件 | 帳票(出力する書類)の決まり |
| 2.4 データ要件 | データの項目と形 |
| 2.5 連携要件 | ほかのシステムとのやり取りの決まり |
『要件定義書みたいだな』と感じた方は、その感覚で合っています。要件定義書そのものの考え方は、要件定義書とは?で詳しく紹介しています。

データ要件・連携要件はデジタル庁のページで
業務をまたいで使うデータ要件と連携要件の標準仕様書は、デジタル庁のページにまとめられています。2026年9月30日の更新で、総論は第4.2版(2026年9月)でした。
- 自分が関わる業務と、その所管府省を早見表で確かめる
- 所管府省のサイトで、今の版を確かめる
- 業務フローを読んで、今の仕事の流れと比べる
- 帳票要件で、窓口で使う書類がどう変わるかを見る
- データ要件・連携要件はデジタル庁のページで確かめる
移行はいつまで?スケジュールの流れ
令和7年度(2025年度)までに、ガバメントクラウドを使った標準準拠システムへ移行できる環境を整えるのが目標でした。間に合わないシステムには、別の支援の枠組みがあります。
流れを年ごとに並べてみます。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2019年12月 | デジタル・ガバメント実行計画で17業務が示される |
| 2021年5月 | 標準化の法律が成立(同年9月施行) |
| 2022年1月 | 対象事務を定める政令等で20業務に |
| 2022年10月 | 基本方針を策定(2023年9月・2024年12月に改定) |
| 2023年4月から2026年3月 | 移行の支援期間 |
| 令和7年度(2025年度) | 標準準拠システムへ移行できる環境を整える目標 |
令和8年度(2026年度)以降に移行せざるを得ないシステムは「特定移行支援システム」とされ、おおむね5年以内に移行できるよう支援するとされています。
令和7年7月末時点の資料では、全34,592システムのうち3,770システムが特定移行支援システムに当たり、1,788団体のうち643団体が該当していました。
早見表の版は2023年11月時点、データ要件・連携要件の総論は2026年9月時点と、資料ごとに時点が違います。版を引用する時は、何年何月の資料かをあわせて書いておきましょう。
調達の仕様書と印紙税はどう関わる?
標準仕様書は「システムがそろえる基準」で、調達の仕様書は「その基準に合うシステムや作業を買うための文書」です。役割が違うので、分けて考えましょう。
国の情報システムの調達では、デジタル庁のDS-100(デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン)で、要件定義書と調達仕様書の作り方が決められています。調達仕様書には、調達案件の概要や作業の内容、成果物の取扱い、入札参加資格などを書き、要件定義書を添付します。
DS-100の非機能要件には「中立性」の項目もあります。市場で手に入りやすいオープンな標準の技術や製品を使う要件を書き、技術や製品を指定する時は、その理由を明記するという考え方です。
入札の仕様書の書き方は、入札の仕様書の書き方で詳しく紹介しています。
仕様書に印紙税はかかる?
『仕様書にも収入印紙を貼るの?』と迷う方もいますよね。国税庁の説明では、課税文書かどうかは文書の名前ではなく、書かれている内容で判断されます。
プログラムの設計・開発の契約書は請負に当たり、第2号文書とされています。一方、仕様書そのものを名指しした国税庁の説明は見当たりませんでした。
契約書が仕様書を引用している場合、引用された文書の内容も、その契約書に書かれているものとして判断されます。個別の文書が課税文書に当たるかは、税務署や税理士に確かめてみてください。
標準仕様書でよくある相談
仕様書まわりでよく見かけるのは、「仕様書が特定のメーカーの製品に寄っている」「要件定義書の書き方が分からない」という相談です。どちらも、標準仕様書や調達の考え方とつながっています。
閲覧数が多い相談を、内容をまとめた形で紹介します。
相談1:自治体の仕様書が特定の製品に寄っているのは問題?
自治体の物品購入の見積合わせで、仕様書が特定のメーカーの特定の製品そのものの仕様になっている、という相談です。
総務省の実務手引書(2007年7月1日)では、情報システムの調達仕様に、原則として特定の商標名を使った要求要件を定めないこととされています。気になる時は、発注した機関に質問できる手続きがないか、入札の公告を見てみてください。
相談2:要件定義書ってどう書くの?
プログラムを書く前に要件定義が大事だと聞いたけれど、要件定義書はどう書くのか、という相談です。閲覧数がとても多く、同じ疑問を持つ人の多さが分かります。
標準仕様書の機能要件・画面要件・帳票要件の並びは、要件定義書を書く時の見本にもなります。
職場では、こんな会話から始まることが多いですよ。
「要件定義書って、何から書けばいいですか?」
「まず業務の流れを書いて、その流れで使う画面と帳票を並べてみよう」
標準仕様書も、まさにこの順番で書かれているんです。
相談3:入札時の仕様書と、落札した業者の内容が違う
入札の時の仕様書と、落札した業者がやろうとしている内容が違う、という相談です。
こうした時は、仕様書のどの項目とずれているかを書き出して、契約の担当に相談しましょう。地方自治法施行令の第167条の15では、検査は契約書や仕様書などの関係書類に基づいて行うとされています。
自治体システムの経験は、ITの仕事でも活きる
標準仕様書を読み、今の業務の流れと比べて差を洗い出す仕事は、要件定義そのものです。自治体の側で移行に関わった経験は、社内SEのように発注側で要件をまとめる仕事とも共通しています。
今の職場で経験を積むのも、資格を取ってから動くのも、どちらも立派な選択です。発注側の仕事については社内SEと仕様書で紹介しています。上流の仕事に興味が出てきた方は、求人の仕事内容を比べてみると道が見えてきますよ。
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よくある質問
自治体システムの標準仕様書はデジタル庁が作っているのですか?
業務ごとの標準仕様書は、制度を所管する府省が作ります。デジタル庁と総務省は法制上の措置を共同で所管していて、データ要件・連携要件の標準仕様書はデジタル庁のページにまとめられています。
総務省の税務システム標準仕様書は、どの税の業務が対象ですか?
固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税です。2023年11月時点の総務省の資料では第2.1版でした。
厚生労働省の標準仕様書にはどんな業務がありますか?
児童扶養手当、国民健康保険、国民年金、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、生活保護、健康管理の8業務です。
標準仕様書の最新版はどこで確かめればいいですか?
業務ごとの標準仕様書は所管府省のサイトで、データ要件・連携要件はデジタル庁のページで確かめてみてください。この記事の版は資料の時点のものです。
仕様書に印紙税はかかりますか?
課税文書かどうかは、文書の名前ではなく内容で判断されます。仕様書を名指しした国税庁の説明は見当たらないので、個別の文書は税務署や税理士に確かめてみてください。
まとめ
- 自治体システム標準化の標準仕様書は、業務ごとに所管府省が作る
- デジタル庁と総務省が共同で所管し、データ要件・連携要件はデジタル庁のページにある
- 対象は住民記録・税・介護保険・健康管理などの20業務
- 中身は業務フローと機能・画面・帳票・データ・連携の要件
- 版は資料の時点ごとに違うので、所管府省のサイトで確かめる





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