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図面の束の中に「特記仕様書」があって、『標準仕様書とどっちを見ればいいの?』と迷った経験はありませんか。
結論から言うと、特記仕様書は「その工事だけの決めごと」を書いた仕様書です。標準仕様書や共通仕様書と食い違ったら、ふつうは特記仕様書のほうが優先されます。
この記事を読めば、特記仕様書とは何か、ほかの仕様書との違いと優先順位がすっきり分かります。
特記仕様書とは?
特記仕様書とは、どの工事にも使う標準的な仕様書を補って、その工事に固有の材料や工法、条件を定める書類です。「この工事ではこうする」を書く場所と考えると分かりやすいです。
国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、特記仕様書を「共通仕様書を補足し、工事の施工に関する明細または工事に固有の技術的要求を定める図書」と定義しています。
建築の側では、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の1.1.2で「特記」という言葉を定義しています。質問回答書、現場説明書、特記仕様書、図面で指定された事項を「特記」と呼ぶ、という決まりです。
例えばこんな場面
標準仕様書には、多くの工事で使う標準的なやり方がまとめてあります。でも、建物ごとに使う材料や大きさは違いますよね。
そこで、その建物で決めたことを特記仕様書に書いておくわけです。国土交通省の説明でも、標準仕様書に無い材料や工法を使う時は「設計図書に特記して下さい」としています。
「特記仕様書」「特記事項」「構造特記仕様書」など、似た名前の書類があります。名前が違っても、その工事だけの決めごとを書いた書類かどうかで見分けてみてください。
特記仕様書にはどんなことが書かれる?
中身は工事によって違いますが、よく見かける項目を編集部の考え方で並べてみました。記入例は架空のものです。
| 項目 | 書かれることの例(架空) |
|---|---|
| 工事の概要 | 工事の名前、場所、建物の用途、工期 |
| 適用する基準 | 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版を適用する、など |
| 材料の指定 | 標準仕様書で「特記による」とされた材料の種類や寸法 |
| 工法の指定 | 標準と違うやり方をする所と、その方法 |
| 試験・検査 | 追加で行う試験や、立会いが必要な検査 |
| その他の条件 | 作業できる時間帯、近隣への配慮、提出する書類 |
『全部の項目を一から書くの?』と思うかもしれません。実際は、適用する標準仕様書の項目番号に沿って、変える所や決める所だけを書く形が多いですよ。
特記仕様書の最初には「どの標準仕様書の何年版を使うか」が書かれています。まずここを見て、手元の標準仕様書の版が合っているか確かめておきましょう。
標準仕様書・共通仕様書との違い
標準仕様書・共通仕様書は「どの工事にも使う決めごと」、特記仕様書は「この工事だけの決めごと」です。2つで1組になって、仕様書として働きます。
『標準仕様書と特記仕様書、何が違うの?』という疑問は、仕様書の役割の違いで解けます。
- 多くの工事に共通する材料・工法・検査を定める
- 発注機関が作り、公開や刊行で配られる
- 個別の工事の条件までは書かれていない
- その工事に固有の材料・工法・条件を定める
- 工事ごとに設計者・発注者が作る
- 標準仕様書の中で「特記による」とされた所を埋める
土木工事共通仕様書(案)では、仕様書を「各工事に共通する共通仕様書と各工事ごとに規定される特記仕様書を総称していう」と定めています。つまり、共通仕様書と特記仕様書の2つを合わせて「仕様書」なんです。
共通仕様書は「あらかじめ定型的な内容を盛り込み作成したもの」とされています。標準仕様書と共通仕様書の違いは、標準仕様書とは?や共通仕様書とは?で詳しく紹介しています。
建築と土木で呼び名が違う
建築の官庁営繕では「公共建築工事標準仕様書」、土木では「土木工事共通仕様書(案)」と、名前が違います。どちらも、その上に特記仕様書が重なる形は同じです。
| 分野 | どの工事にも使う仕様書 | その工事だけの仕様書 |
|---|---|---|
| 建築(官庁営繕) | 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 など | 特記仕様書 |
| 土木(国土交通省) | 土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 など | 特記仕様書 |
| 地方整備局 | 国の共通仕様書を掲載・運用 | 整備局の特記仕様書を合わせて掲載する例もある |
例えば中部地方整備局は、国土交通省の土木工事共通仕様書と「中部地方整備局土木工事特記仕様書」をセットで掲載しています。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の7.3.3では、鉄骨の製作精度を日本建築学会のJASS 6の付則によるとしています。特記仕様書だけでなく、標準仕様書から引かれている別の書類も、読む範囲に入ることがあるんです。
設計図書の優先順位はどうなっている?
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、質問回答書、現場説明書、特記仕様書、図面、標準仕様書の順に優先します。特記仕様書は標準仕様書より上です。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の1.1.1では、設計図書を「別冊の図面、標準仕様書、特記仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書」としています。そして、全ての設計図書は相互に補完するとしたうえで、食い違った時の順番を決めています。
| 順番 | 書類 | どんな書類か |
|---|---|---|
| 1 | 質問回答書 | 入札前などの質問に発注者が答えた書類 |
| 2 | 現場説明書 | その工事の現場での説明をまとめた書類 |
| 3 | 特記仕様書 | その工事だけの材料・工法・条件 |
| 4 | 別冊の図面 | 形や寸法を絵で示した図面 |
| 5 | 標準仕様書 | どの工事にも使う標準的な仕様 |

この順番で決められない時は、1.1.8によるとされています。個別の判断は、監督職員の指示や協議で決めていく形です。
土木工事共通仕様書の場合
土木工事共通仕様書(案)では、「契約図面、特記仕様書及び工事数量総括表に記載された事項は、この共通仕様書に優先する」としています。ここでも、特記仕様書は共通仕様書より上なんです。
一方で、特記仕様書、契約図面、工事数量総括表の間に食い違いがある時は、受注者は監督職員に確認して指示を受けることになっています。
標準仕様書だけを読んで施工の準備を進めてしまうことです。同じ項目が特記仕様書で変えられていると、やり直しになりかねません。標準仕様書を開く前に、まず特記仕様書を見ておきましょう。
設計図書の全体像は、設計図書とは?仕様書・図面・現場説明書の関係で詳しくまとめています。
「特記による」の読み方
標準仕様書の本文に「特記による」とあったら、その答えは特記仕様書などの特記の側にあります。「特記がなければ」と続く時は、特記が無い場合の標準の値が書かれています。
標準仕様書を読んでいると、「特記による」という言葉がたくさん出てきますよね。これは、工事ごとに決める事項なので特記で指定してください、という意味なんです。
例えば公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版の5.2.2では、溶接金網について「鉄線の形状、網目寸法及び鉄線の径は、特記による」としています。この場合、寸法は特記仕様書や図面を見に行くことになります。
5.3.5の最小かぶり厚さは、「特記による。特記がなければ、表5.3.6による」という書き方です。特記仕様書に書いてあればそちら、無ければ標準仕様書の表、という順番になります。
- 標準仕様書の該当する章・節の番号を控える
- 特記仕様書で同じ番号や項目を探す
- 図面の注記や仕様の欄も見る
- 質問回答書や現場説明書で変わっていないか確かめる
- どこにも無い時は「特記がなければ」の記載を見る
- それでも決まらない時は監督職員に確認する
項目ごとの引き方は、標準仕様書の調べ方でも紹介しています。
特記仕様書でよくある相談
相談で多いのは「特記仕様書って結局何?」「共通仕様書と特記仕様書の違い」の2つです。どちらも「全部の工事に使うか、この工事だけか」で答えられます。
よく寄せられる相談を、内容をまとめた形で紹介します。
相談1:特記仕様書は標準仕様書に優先すると習ったけれど、どういうもの?
学校で特記仕様書は標準仕様書に優先すると学んだが、実際どういう書類なのかイメージがわかない、という相談です。
標準仕様書がどの工事にも使う教科書だとすると、特記仕様書はその工事のための追加の約束です。標準のやり方を変えたい所や、標準仕様書が「特記による」として空けている所を埋めるのが役目なんです。
相談2:土木工事の共通仕様書と特記仕様書の違いは?
土木工事の共通仕様書と特記仕様書の違いを教えてほしい、という相談もよく見かけます。
土木工事共通仕様書(案)の定義どおり、共通仕様書は各工事に共通する定型の内容、特記仕様書は工事ごとの明細や固有の要求です。2つを合わせて「仕様書」と呼びます。
相談3:整備局のサイトに両方載っているのはなぜ?
国土交通省の地方整備局のサイトに共通仕様書と特記仕様書が並んで載っていて、それぞれの違いが分からない、という相談もあります。
整備局によっては、国の共通仕様書と、その整備局の工事で共通して使う特記仕様書をまとめて掲載しています。実際の工事では、さらに個別の工事の特記仕様書が付くので、契約の時に渡された書類一式を見てみてください。
特記仕様書の確かめ方と、仕事への活かし方
特記仕様書は、工事の契約書類の一部として受注者に渡されます。読む時は、標準仕様書のどの項目を変えているかに印を付けながら読むと迷いません。
『特記仕様書はどこで手に入るの?』という方もいますよね。特記仕様書は工事ごとに作られるので、入札の時の書類や契約の時の設計図書の中にあります。
公共住宅建設工事共通仕様書のように、作成する協議会が特記仕様書をダウンロードできるようにしている例もあります。
- 適用する標準仕様書・共通仕様書の名前と年版が書いてある
- 標準仕様書と違うやり方を指定している項目に印を付けた
- 「特記による」とされた項目の答えを全部見つけた
- 図面や質問回答書と食い違う所が無いか見た
- 分からない所を監督職員への確認事項としてまとめた
仕様書どうしの関係を読み解いて、決めごとを整理する力は、システム開発の要件定義や社内SEの仕事とも共通しています。
今の現場で経験を積むのも、資格を取ってから考えるのも正当な道です。ITの仕事に興味がある方は、求人の仕事内容をのぞいてみると、活かせる場面が見えてきますよ。

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よくある質問
特記仕様書とは何ですか?
どの工事にも使う標準仕様書や共通仕様書を補って、その工事に固有の材料・工法・条件を定める書類です。土木工事共通仕様書(案)では「共通仕様書を補足し、工事の施工に関する明細または工事に固有の技術的要求を定める図書」と定義されています。
標準仕様書と特記仕様書はどちらが優先ですか?
特記仕様書が優先です。公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、質問回答書、現場説明書、特記仕様書、図面、標準仕様書の順に優先すると定めています。
共通仕様書と特記仕様書の違いは何ですか?
共通仕様書は各工事に共通する定型の内容、特記仕様書はその工事ごとの明細や固有の要求です。2つを合わせて「仕様書」と呼びます。
特記仕様書は誰が作りますか?
工事ごとに、発注者や設計者が設計図書の一部として作ります。受注者は契約の時に受け取り、その内容に従って工事を進めます。
「特記による」と書いてあったらどこを見ればいいですか?
特記仕様書や図面など、特記にあたる書類を見ます。どこにも書かれていない時は、「特記がなければ」の標準の値を確かめ、それでも決まらなければ監督職員に確認しましょう。
まとめ
- 特記仕様書は、その工事だけの決めごとを書いた仕様書
- 標準仕様書・共通仕様書と特記仕様書の2つで仕様書になる
- 建築では質問回答書、現場説明書、特記仕様書、図面、標準仕様書の順に優先
- 「特記による」の答えは特記仕様書や図面の側にある
- 食い違いや決まらない所は監督職員に確認する





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