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『仕様書を用意して』と言われたものの、どの種類の仕様書のことか分からない。そんな経験がある方も多いはずです。
結論から言うと、仕様書の種類は業界ごとに分けて見ると一気に整理しやすくなります。IT、建設、製造・製品、調達・委託の4つに分けると、自分に関係する書類がどれかすぐ分かります。
この記事では、業界別の主な仕様書と、それぞれ誰が書いて何に使うのかを一覧で紹介します。
仕様書の種類は「業界」で分けると迷わない
仕様書は、「何を作るか・何を買うか・どう仕上げるか」を決めて書いた文書の総称です。種類が多いのは業界ごとに目的が違うからで、まずは自分の業界の仕様書から押さえれば十分です。
同じ「仕様書」という言葉でも、システム開発の現場と工事の現場では、指している書類がまったく違いますよね。だから、種類を全部まとめて覚えようとすると混乱してしまうんです。
そこで編集部では、仕様書を4つの業界に分けて、代表的な書類と書く人を並べてみました。自分がどの列に当たるかを先に見つけておくと、この先の話が読みやすくなります。
| 業界 | 代表的な仕様書 | 主に書く人 | 何に使うか |
|---|---|---|---|
| IT(システム開発) | 要件定義書・基本設計書・詳細設計書・テスト仕様書 | 発注側の担当者、SE | 作るシステムの中身を決めて共有する |
| 建設(工事) | 標準仕様書・共通仕様書・特記仕様書 | 発注者、設計者 | 材料や工法、仕上げの程度を決める |
| 製造・製品 | 製品仕様書・購入仕様書・縫製仕様書 | 開発・設計の担当者、購買担当 | 製品の性能や作り方を決める |
| 調達・委託 | 調達仕様書・発注仕様書・業務委託の仕様書 | 調達・総務・発注の担当者 | 何をどこまで頼むかを決める |

仕様書そのものの意味や目的は、仕様書とは?意味と目的、設計書・要件定義書との違いで基本から紹介しています。
迷った時は「誰と誰の約束か」を見る
どの業界の仕様書でも、共通しているのは「頼む人と作る人の約束を文書にしたもの」という点です。
『この書類、何の仕様書なんだろう?』と迷ったら、表紙や冒頭を見て、誰が誰に渡す書類なのかを確かめてみてください。発注者から受注者へ渡すものなら、作ってほしい物の条件が書いてあるはずです。
IT(システム開発)の仕様書の種類
システム開発の仕様書は、作る順番に「要件定義書、基本設計書、詳細設計書、テスト仕様書」と並びます。順番で覚えると、それぞれの役割がつかみやすくなります。
IT業界で仕様書と言えば、システム開発の各工程で作る文書のことを指すことが多いですよね。工程ごとに書く内容と読み手が変わるので、設計書の一覧としてまとめておくと便利です。
| 工程 | 主な文書 | 書く中身 | 主な読み手 |
|---|---|---|---|
| 要件定義 | 要件定義書 | 業務の要件、機能の要件、非機能の要件 | 発注側・開発側の両方 |
| 基本設計 | 基本設計書(画面・帳票・データ・外部とのやり取り) | 利用者から見える動き | 発注側・開発側の両方 |
| 詳細設計 | 詳細設計書 | プログラム内部の作り方 | 主に開発側 |
| テスト | テスト計画書・テスト仕様書 | テストの項目、手順、合否の基準 | 開発側・受入れをする発注側 |
要件定義書:何ができればよいかを決める
要件定義書は、システム開発の最初に作る文書です。デジタル庁のDS-100(デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン)では、業務要件、機能要件、非機能要件などを定義して要件定義書を作る、とされています。
IPAの共通フレーム2013でも、要件定義は開発の前に置かれた工程として整理されています。くわしくは要件定義書とは?目的・書く内容・作る流れを見てみてください。
基本設計書と詳細設計書:どう作るかを決める
基本設計書は、要件をもとに画面や帳票、データの形など、利用者から見える部分を決める文書です。DS-100でも、画面や帳票など利用者が直接理解できる基本設計を行ってから、機能を実現する詳細設計を行う順番が示されています。
詳細設計書は、プログラムの内部の処理を決める文書です。厚生労働省の job tag(2025年時点の掲載)では、プログラマーはSEが作った詳細設計書にもとづいてプログラムを作る、と紹介されています。
基本設計書の書き方は基本設計書とは?書く項目と書き方でまとめています。
設計書の一覧と機能一覧
設計書の種類を一覧にすると、次のようなものがよく使われます。会社によって呼び名や分け方は違うので、社内の決まりに合わせて読みかえてください。
- 機能一覧:システムが持つ機能を一覧にした表
- 画面設計書・画面遷移図:画面の項目と、画面の行き来
- 帳票設計書:印刷物や出力するファイルの形
- テーブル定義書:データベースの表と項目
- API仕様書:ほかのシステムとのやり取りの決まり
- バッチ処理の設計書:夜間などにまとめて動く処理
『機能一覧って、要件定義書と設計書のどっちに入るの?』と迷う方もいますよね。DS-100では、要件定義書の機能要件に「機能」「画面」「帳票」「データ」「外部インタフェース」の事項を書くとされています。
そのため、要件定義の段階で機能一覧の下書きを作り、基本設計で細かい項目まで詰めていく、という流れが自然です。
テスト仕様書は、どんなテストをどの順番で行い、何が出れば合格かを決める文書です。DS-100では、単体テスト・結合テスト・総合テストについて、テスト計画書の案を作るよう開発事業者に求めています。
テスト仕様書の書き方は、テスト仕様書とは?書き方・項目とテンプレートの使い方で紹介しています。
建設(工事)の仕様書の種類
工事の仕様書は、どの工事にも使う「標準仕様書・共通仕様書」と、その工事だけの条件を書く「特記仕様書」の2段構えです。図面などとまとめて「設計図書」と呼ばれます。
工事の仕様書は、発注する機関ごとに名前が少しずつ違うので、ややこしく感じますよね。でも実は、仕組みは「共通のルール」と「その工事だけのルール」の組み合わせなんです。
| 種類 | どんな書類か | 例 |
|---|---|---|
| 標準仕様書 | 多くの工事で共通に使う材料・工法の標準 | 公共建築工事標準仕様書(令和7年版) |
| 共通仕様書 | 工事に共通する技術的な決まりを定型でまとめた書類 | 土木工事共通仕様書(案) |
| 特記仕様書 | その工事に固有の条件を書いて共通仕様書を補う書類 | 工事ごとに発注者が作る |
| 図面 | 形や寸法を図で示した書類 | 設計図(別冊の図面) |
| 現場説明書・質問回答書 | 入札前の説明と、質問への回答 | 工事ごとに作る |
標準仕様書と共通仕様書
国土交通省の公共建築工事標準仕様書は、建築工事編・電気設備工事編・機械設備工事編の3編があり、2026年10月時点で確認できた版はどれも令和7年版です。官庁施設の営繕のための基準で、各府省庁の統一基準とされています。
土木の分野では、国土交通省の「土木工事共通仕様書(案)」があります。この仕様書の中では、共通仕様書を「あらかじめ定型的な内容を盛り込み作成したもの」、特記仕様書を「共通仕様書を補足し、工事に固有の技術的要求を定める図書」と定めています。
ほかにも、改修工事、木造、解体、港湾、空港、下水道、水道など、分野や発注機関ごとにたくさんの標準仕様書・共通仕様書があります。全体の地図は標準仕様書とは?共通仕様書・特記仕様書との違いで紹介しています。
特記仕様書と設計図書
特記仕様書は、その工事だけの条件を書いた仕様書です。公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、設計図書を「別冊の図面、標準仕様書、特記仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書」と定めています。
書類どうしで食い違いがあった時の優先順位も決まっています。建築工事編では、質問回答書、現場説明書、特記仕様書、別冊の図面、標準仕様書の順です。
標準仕様書だけを読んで、特記仕様書の指定を見落としてしまう失敗です。個別の工事での判断は、特記仕様書や監督職員の指示、契約図書で確かめましょう。
民間の工事・住宅の仕様書
民間の建築では、日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説(JASS)」が工事ごとに刊行されています。学会がまとめた標準仕様書で、国の公共建築工事標準仕様書とは作る人も入手方法も違います。
住宅では、住宅金融支援機構の住宅工事仕様書(2025年版)があります。機構は住宅工事仕様書を「設計図面に表せない内容を文章で書き表したもの」と説明しています。
注文住宅で確かめる項目は、住宅(家)の仕様書とは?でまとめています。
製造・製品の仕様書の種類
製造の現場では、作る製品の性能を決める「製品仕様書」と、買う側が条件を示す「購入仕様書」が中心です。服などの縫製では、作り方を細かく指示する縫製仕様書も使われます。
ものづくりの仕様書は、作る側が書くものと、買う側が書くものに分かれます。『製品仕様書と購入仕様書、どっちを書けばいいの?』と迷ったら、自分が売る側か買う側かで考えるとすっきりします。
| 種類 | 書く人 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 製品仕様書 | 製品を作る会社の開発・設計の担当者 | 性能、寸法、使える条件、付属品 |
| 購入仕様書 | 製品や設備を買う会社の担当者 | 必要な性能、数量、納期、検査の方法 |
| 縫製仕様書 | 服を企画する会社の担当者 | 生地、寸法、縫い方、付属品の指定 |
| 部品の仕様書・データシート | 部品を作る会社 | 部品の特性値と使える条件 |
製品仕様書と規格の関係
製品仕様書の書き方には、日本産業規格の書き方を決めた JIS Z 8301:2019 が参考になります。要求は確かめられるものだけを書き、「十分に強い」のような表現を使わない、という考え方が示されています。
製品仕様書の項目は、製品仕様書とは?書く項目と書き方・英語の言い方でくわしく紹介しています。
外注する時の書面にも「仕様」が入る
製造を外部に頼む時は、取適法(旧・下請法)の発注書面にも仕様が関わってきます。取適法の運用の考え方では、給付の内容として品目、品種、数量、規格、仕様などを示す必要があるとされています。
アパレルの縫製のように、作り方の指示が細かい仕事ほど、仕様書の出来が仕上がりを左右します。縫製仕様書の書き方は、アパレル・服の仕様書(縫製仕様書)の書き方で紹介しています。
調達・委託の仕様書の種類
物やサービスを外部に頼む時の仕様書は、「何を、どこまで、どの条件で頼むか」を決める書類です。官公庁では調達仕様書、民間では発注仕様書や業務委託の仕様書と呼ぶことが多くなります。
総務や調達の担当になると、『仕様書を付けて見積もりを取って』と頼まれることがありますよね。この時の仕様書は、作る物の設計ではなく、頼む中身の条件を書いた書類なんです。
| 種類 | 主な場面 | 書く中身の例 |
|---|---|---|
| 調達仕様書 | 官公庁のシステムや物品の調達 | 調達の概要、作業の内容、成果物の扱い |
| 提案依頼書(RFP) | 提案をもらって発注先を選ぶ時 | 頼みたい内容、提案の手続、評価の基準 |
| 発注仕様書 | 民間の発注全般 | 頼む物、数量、納期、品質の条件 |
| 業務委託の仕様書 | 清掃・保守・運用などの委託 | 委託する範囲、成果物、報告の方法 |
| 見積仕様書 | 複数の会社から見積もりを取る時 | 見積もりの条件をそろえるための前提 |
官公庁の調達仕様書
デジタル庁のDS-100では、情報システムの調達で調達仕様書を作る、とされています。記載事項には、調達案件の概要、作業の実施内容、成果物の取扱い、入札参加資格、再委託などが並びます。
要件定義書は調達仕様書に添付する形になっているので、ITの仕様書と調達の仕様書はつながっているんです。
国の契約では、予算決算及び会計令第79条で、予定価格を「仕様書、設計書等によつて予定し」と定めています。仕様書は、価格を決める時にも検査をする時にも使われる大事な書類です。
民間の発注仕様書・業務委託の仕様書
民間の発注でも、考え方は同じです。何を頼むのか、どこまでが範囲か、何を納めてもらえば完了か、を書きます。
- 頼む物や作業の名前と目的を書いた
- 範囲に入るものと入らないものを分けた
- 数量・納期・納める場所を書いた
- 完了とみなす条件と検査の方法を書いた
- 決まっていない事と、決める予定の時期を書いた
発注仕様書の書き方は発注仕様書とは?書き方と、発注先に伝わる書き方のコツ、委託の仕様書は業務委託の仕様書の書き方で紹介しています。
自治体システムの標準仕様書
自治体の基幹業務システムには、国が決めた標準仕様書があります。地方公共団体情報システムの標準化に関する法律にもとづき、住民基本台帳や税、福祉などの業務ごとに作られています。
総務省の資料では、標準仕様書の構成は業務フロー、機能要件(機能・画面・帳票・データ・連携)などと示されています。くわしくは自治体システム標準化の標準仕様書とはを見てみてください。
仕様書の種類でよくある相談
相談で多いのは「システム設計書とプログラム設計書の違い」「工事の仕様書の種類を調べる方法」「設計書はExcelとWordのどちらで書くか」です。どれも、誰が読む書類かを考えると答えが見えてきます。
知恵袋には、仕様書の種類についての相談も多く寄せられています。閲覧の多いものを要約してお答えしますね。
相談1:システム設計書とプログラム設計書の違いは?
システム設計書とプログラム設計書は何が違うのか、という短い相談です。とても多く読まれていて、同じ疑問を持つ人が多いことが分かります。
ざっくり言うと、システム設計書はシステム全体の形を決める文書、プログラム設計書は一つひとつのプログラムの作り方を決める文書です。IPAの共通フレーム2013でも、システム方式設計とソフトウェア詳細設計は別のプロセスとして分けられています。
「この設計書は誰が読んで、何を作るために使うの?」
「全体を見る人向けならシステム設計書、プログラムを書く人向けならプログラム設計書だね」
読み手を考えると、どちらの書類か判断しやすくなりますよ。
相談2:土木・建築の工事の仕様書にどんな種類があるか知りたい
工事の仕様書の種類を一覧で調べられるサイトはないか、という相談です。
まずは発注機関の公式サイトを見るのが近道です。国土交通省の官庁営繕のページには、標準仕様書や共通仕様書が一覧で載っています。都道府県や市町村の工事なら、その自治体のサイトで共通仕様書を探してみてください。
標準仕様書の探し方は、標準仕様書の調べ方で紹介しています。
相談3:設計書はExcelとWordのどちらで書くもの?
ユーザー側の立場で、設計書をExcelで書くかWordで書くかで迷っている、という相談です。
結論から言うと、どちらが正解ということはありません。表が多い書類(機能一覧やテーブル定義書)はExcel、文章が多い書類(要件定義書の説明部分)はWordが向いていることが多い、という程度です。
- 機能一覧・項目一覧など表が中心
- 行を足したり並べかえたりが多い
- テスト項目のように件数が多い
- 背景や目的など文章が中心
- 章立てと目次が必要
- 図と説明を交互に並べたい
大事なのは、チームの中で書式をそろえることです。作る道具の選び方は、仕様書の作成ツールでまとめています。
仕様書を読み書きする経験は、ほかの仕事にもつながる
どの業界の仕様書でも、関係者の要望を聞いて、決まったことを文書にまとめる力が求められます。この力は、システム開発の要件定義や社内SEの仕事とも共通しています。
工事の特記仕様書を読みこなす人も、調達仕様書をまとめる人も、実は「要望を整理して文書にする」という同じ仕事をしていますよね。業界が違っても、この力は持ち運べるんです。
今の職場で仕様書を書く経験を重ねるのも、十分に価値のある道です。そのうえで、ITの仕事に興味がある方は、要件定義や設計を担当する求人の仕事内容を一度のぞいてみると、自分の経験がどこで活きるかが見えてきますよ。

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要件定義や設計を任されるか、発注側か開発側か、扱うシステムや働き方は会社によって大きく違います。担当したい工程や条件から、IT・Webエンジニアの求人を比べてみてください。
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よくある質問
仕様書にはどんな種類がありますか?
業界ごとに分けると分かりやすくなります。ITでは要件定義書・設計書・テスト仕様書、建設では標準仕様書・共通仕様書・特記仕様書、製造では製品仕様書・購入仕様書、調達では調達仕様書・発注仕様書などがあります。
設計書の一覧にはどんなものがありますか?
システム開発では、基本設計書と詳細設計書を中心に、機能一覧、画面設計書、帳票設計書、テーブル定義書、API仕様書などがよく使われます。呼び名や分け方は会社ごとに違うので、社内の決まりに合わせて読みかえてください。
機能一覧は要件定義書と設計書のどちらに入りますか?
要件定義の段階で下書きを作り、基本設計で細かく詰めることが多い書類です。DS-100でも、要件定義書の機能要件に機能・画面・帳票・データ・外部インタフェースの事項を書くとされています。
標準仕様書と特記仕様書はどちらが優先されますか?
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、特記仕様書が標準仕様書より優先されます。個別の工事では、特記仕様書や監督職員の指示、契約図書で確かめてください。
まとめ
- 仕様書の種類は、IT・建設・製造・調達の4つの業界に分けると整理しやすい
- ITでは要件定義書・基本設計書・詳細設計書・テスト仕様書の順に作る
- 建設では標準仕様書・共通仕様書と特記仕様書を組み合わせて使う
- 製造では製品仕様書と購入仕様書、調達では調達仕様書や発注仕様書が中心
- 迷った時は「誰が誰に渡す書類か」を確かめる





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