仕様書と設計書の違い|何を書くか・誰が書くか・順番

仕様書と設計書の違いを解説する記事のアイキャッチ。机に並んだ仕様書と設計の図

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『仕様書と設計書って、結局どう違うの?』と、先輩に聞くのもためらってしまう。そんな方も多いはずです。

結論から言うと、仕様書と設計書の違いは仕様書が「何を作るか」、設計書が「どう作るか」を書く点です。ただし業界や会社によって呼び方が重なるので、中身で見分けるのがコツなんです。

この記事を読めば、仕様書と設計書を何を書くか・誰が書くか・順番の3つで見分けられるようになります。

目次

仕様書と設計書の違いは「何を」と「どう」

先に結論

仕様書は、作る物が満たすべき条件を書いた文書です。設計書は、その条件を満たすために、どんな形・どんな仕組みで作るかを書いた文書です。

例えば「検索ボタンを押したら、条件に合う商品が一覧で出る」と決めるのが仕様書の役割です。「どのデータをどの順番で読みに行き、画面のどこに並べるか」を決めるのが設計書の役割ですね。

見るところ仕様書設計書
何を書くか作る物の条件(何を作るか)作り方(どう作るか)
誰が書くか頼む側が中心、または両者で合意作る側が中心
いつ作るか先に作る仕様書のあとに作る
主な読み手頼む側と作る側の両方作る側(作り手・検査する人)

『でも、うちの会社では設計書のことを仕様書と呼んでいるよ』という方もいますよね。実は、その感覚も間違いではありません。

英語でも境目はあいまい

ソフトウェアの用語をまとめた国際規格 ISO/IEC/IEEE 24765:2010 では、設計を書いた文書(design description)の同じ意味の言葉として、design specification が挙げられています。英語でも「設計の仕様書」という言い方があるわけです。

だからこそ、書類の名前ではなく、中に「条件」が書いてあるのか「作り方」が書いてあるのかで見分けるのが確実です。英語での呼び方は仕様書は英語で何という?で紹介しています。

同じ機能を仕様書と設計書で書き分けると

違いをもっと具体的に見てみましょう。次の表は、編集部が作った架空の例です。会員登録の機能を、仕様書と設計書のそれぞれで書くとこうなります。

書く内容仕様書での書き方設計書での書き方
入力する項目氏名、メールアドレス、パスワードを入力できる入力欄の並び順、文字数の上限、入力チェックの処理
登録後の動き登録が終わったら確認のメールが届くメールを送る処理を呼ぶ順番と、失敗した時のやり直し
守る条件同じメールアドレスでは二重に登録できない登録前にデータベースを検索する処理と、その結果の画面表示

仕様書の列は、頼む側が読んでも「そう、それがほしい」と確かめられる書き方です。設計書の列は、作る側が手を動かすための書き方になっていますよね。

ITと建設の2つの例で並べると違いが分かる

ここが大事

「何を(仕様書)」と「どう作る(設計書)」の考え方は、システム開発でも建設工事でも同じです。ただし建設では、設計の結果が図面と仕様書になって発注者から渡される点が違います。

言葉だけだとつかみにくいので、ITと建設の2つの例で並べてみました。同じ「仕様書」「設計書」でも、業界で指す物が少しずつ違うことが分かります。

比べる点IT(システム開発)建設(公共工事)
「何を」を書く文書要件定義書、機能仕様書標準仕様書、特記仕様書
「どう作る」を書く文書基本設計書、詳細設計書図面(設計図)、施工図
仕様書を書く人発注側(開発側と合意)発注者・設計者
設計書を書く人開発側のSE設計者、施工の段階では受注者
設計書という言葉の意味システムの作り方の文書予定価格の算出などに使う書類を指すこともある
順番要件定義書、基本設計書、詳細設計書設計図書がそろってから施工
仕様書は何を作るか、設計書はどう作るかを、システム開発と建設工事の2つの例で並べた比較の図解

システム開発の場合

システム開発では、まず要件定義書で「何ができればよいか」を決めます。IPAの共通フレーム2013でも、要件定義のあとにシステム方式設計、ソフトウェアの方式設計、詳細設計と進む流れが整理されています。

厚生労働省の job tag(2025年時点の掲載)でも、受託開発のSEの仕事として、要件定義、基本設計、詳細設計の順に進み、詳細設計で処理の流れを細かくした設計書を作ると紹介されています。

要件定義書と仕様書の関係は要件定義書と仕様書の違い、基本設計書の中身は基本設計書とは?でくわしく紹介しています。

建設工事の場合

建設工事では、仕様書は図面と並ぶ「設計図書」の一つです。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)では、設計図書を図面、標準仕様書、特記仕様書、現場説明書、質問回答書のまとまりとしています。

図面は形や寸法を、仕様書は材料や工法、仕上げの程度を書く、という役割分担です。住宅金融支援機構も、住宅工事仕様書を「設計図面に表せない内容を文章で書き表したもの」と説明しています。

仕様書と設計書は誰が書く?作る順番は?

ここでの結論

基本は、頼む側が仕様を決め、作る側が設計を書く順番です。ただ実際には、作る側が仕様書の下書きを手伝うことも多く、最後に両者で合意するのが大事なところです。

『仕様書は発注者が書くもの?それとも開発会社?』と迷う方も多いですよね。IPAの「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」には「要件定義は発注者の責任である」という一条があります。

とはいえ、発注側だけで細かい仕様書を書くのは大変です。現場では、作る側がヒアリングをして下書きを作り、発注側が確かめて合意する進め方がよく見られます。

仕様書から設計書へ進む順番(システム開発の例)
  1. 頼む側が、困っていることと、やりたいことを話す
  2. 要件定義書で「何ができればよいか」をまとめて合意する
  3. 基本設計書で、画面や帳票など利用者から見える部分を決める
  4. 詳細設計書で、プログラムの中の作り方を決める
  5. テストで、仕様書の条件を満たしたかを確かめる

順番を飛ばすと起きやすいこと

仕様が決まる前に設計を始めると、あとから仕様が変わって設計を何度も作り直すことになりがちです。

よくある失敗

「とりあえず画面を作ってから考えよう」と、仕様の合意を飛ばしてしまう失敗です。作り直しが重なると、費用も納期も読めなくなります。仕様の変更は、変更の記録を残してから設計に反映しましょう。

設計書と内訳書・設計図書の違い

ここでの結論

建設や公共の調達では、「設計書」が図面や仕様書とは別の書類を指すことがあります。設計図書は、図面と仕様書などをまとめた呼び名です。書類名だけで判断せず、契約図書の一覧で中身を確かめましょう。

公共工事に関わる方なら、『設計書と内訳書、設計図書って何が違うの?』と迷うことがありますよね。ここは業界の言葉の使い方が独特なところです。

書類どんな書類か主に使う場面
設計図書図面・仕様書・現場説明書・質問回答書などのまとまり工事の契約と施工
設計書(公共の調達)予定価格を見積もる時に仕様書と並べて使われる書類予定価格の作成・検査
内訳書工事の項目ごとに数量や金額を分けて書き出した書類見積もり・積算の確認

設計図書とは

設計図書は、工事の内容を決める書類の集まりです。国土交通省の土木工事共通仕様書(案)では、設計図書を仕様書、契約図面、現場説明書、質問回答書とし、土木工事では工事数量総括表も含めるとしています。

つまり、仕様書は設計図書の「一部」です。設計図書のくわしい関係は設計図書とは?仕様書・図面・現場説明書の関係で紹介しています。

公共の調達でいう「設計書」と内訳書

国の契約のルールである予算決算及び会計令第79条には、予定価格を「当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し」とあります。同じく第101条の4では、検査を「契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて」行うとされています。

このように公共の調達では、仕様書と設計書が別の書類として並んで出てきます。内訳書は、工事の項目ごとの数量や金額を細かく書き出したものを指すことが多い書類です。

ただ、設計書や内訳書という名前で何を指すかは、発注機関や会社によって違います。迷った時は、契約図書の一覧や特記仕様書を見て、どの書類に何が書かれているかを確かめてみてください。

仕様書と設計書の違いでよくある相談

ここでの結論

相談で多いのは「何を作るか・どう作るかの区別がピンとこない」「機能仕様書と機能設計書の違い」「システム設計書とプログラム設計書の違い」です。読み手が誰かを考えると、区別がつきやすくなります。

知恵袋には、仕様書と設計書の違いについての相談が多く寄せられています。閲覧の多いものを要約してお答えしますね。

相談1:「何を作るか」と「どう作るか」と聞いたけれど、ピンとこない

SEになったばかりで、仕様書と設計書の違いは「何を作るか」と「どう作るか」だと教わったけれど、実際の書類を見ると区別が分からない、という相談です。

そう感じるのは自然なことです。現場の書類は、一冊の中に仕様と設計の両方が混ざっていることがよくあるんです。

「この一文は、頼む人が読んでも意味が分かる?」
「分かるなら仕様、作る人にしか関係ないなら設計、と考えてみて」

こんなふうに一文ずつ読み手を考えると、仕様と設計の境目が見えてきます。

相談2:機能仕様書と機能設計書は何が違う?

システム開発で、機能仕様書と機能設計書の違いが分からない、という相談です。

機能仕様書は、機能が「何をするか」を決める文書です。24765 でも functional specification は、システムが果たすべき機能を決める文書で、要求仕様の一部になることが多いとされています。機能設計書は、その機能を「どう作るか」まで踏みこんだ文書と考えると区別しやすいでしょう。

相談3:システム設計書とプログラム設計書の違いは?

システム設計書はシステム全体の形を決める文書、プログラム設計書は一つひとつのプログラムの作り方を決める文書です。どちらも「どう作るか」の文書ですが、見ている範囲の広さが違います。

手元の書類が仕様書か設計書か見分けるチェック
  • 頼む側が読んで、内容を確かめられるか
  • 作る物の条件が書いてあるか、作り方が書いてあるか
  • 画面や帳票など、利用者から見える部分の話か
  • プログラムの中の処理や、データの持ち方の話か
  • 契約や検収のよりどころとして使われているか

仕様と設計の両方が分かる人は頼りにされる

ここでの結論

仕様と設計の違いが分かる人は、頼む側と作る側の通訳のような役割を果たせます。この力は、要件定義や設計を任される上流工程の仕事で評価されやすいものです。

仕様と設計の違いを説明できると、打ち合わせで話がかみ合わない場面を減らせますよね。それだけで、チームの中での信頼はぐっと上がるんです。

今の職場で設計書を書く経験を重ねるのも、十分に意味のある道です。そのうえで、要件定義や設計の工程を任されたい方は、求人の仕事内容を比べてみると、次に進む道が見えてきますよ。

要件定義書と設計書を机に並べ、付箋で対応を確かめている打ち合わせの手元

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よくある質問

仕様書と設計書の違いを一言で言うと?

仕様書は「何を作るか」、設計書は「どう作るか」を書いた文書です。ただ会社によって呼び方が重なるので、書類の中身で見分けるのが確実です。

仕様書と設計書はどちらを先に作りますか?

仕様書が先です。システム開発なら、要件定義書で何ができればよいかを決めてから、基本設計書、詳細設計書の順に作ります。

設計書と設計図書は同じものですか?

違います。設計図書は、図面・仕様書・現場説明書・質問回答書などをまとめた呼び名です。設計書は、公共の調達では予定価格の作成などに使う書類として仕様書と並べて扱われます。

設計書と内訳書の違いは?

内訳書は、工事の項目ごとに数量や金額を分けて書き出した書類を指すことが多い書類です。何を設計書や内訳書と呼ぶかは発注機関ごとに違うので、契約図書の一覧で確かめてください。

まとめ

この記事の要点
  • 仕様書は「何を作るか」、設計書は「どう作るか」を書く
  • 仕様書が先、設計書があと。最後は両者で合意する
  • ITでは要件定義書から基本設計書・詳細設計書へ進む
  • 建設では仕様書は図面などと並ぶ設計図書の一つ
  • 書類名ではなく、中身と読み手で見分ける
仕様書ドットコム

仕様書ドットコム 編集部

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