製品仕様書とは?書く項目と書き方・英語の言い方

製品仕様書とは何か、書く項目と書き方を紹介する記事のアイキャッチ。机に広げた仕様書と図面

当サイトの記事は編集部が国土交通省・IPA・デジタル庁などの公的機関の情報、規格や業界団体の公開情報を調べて独自に執筆しています。記事内にIT・Webエンジニアの転職サービスへの案内(広告)を含みます。

新しい製品の仕様書を作ることになり、『何を書けば製品仕様書と呼べるのか』と迷っていませんか。カタログの仕様欄とは何が違うのかも、分かりにくいですよね。

結論から言うと、製品仕様書は「形と大きさ」「性能」「使う条件」「安全と規格」の4つに分けて書くと、抜けなくまとまります。

この記事を読めば、製品仕様書の意味と書き方、テンプレートの使い方、英語での言い方まで分かります。

目次

製品仕様書とは?誰が何のために作る書類か

先に結論

製品仕様書とは、ある製品が「どんな形で、どんな働きをし、どんな条件で使えるか」を決めて書いた文書です。作る側が品質をそろえるため、買う側が選ぶため、取引の約束にするために使われます。

『製品仕様書とカタログの仕様欄は同じもの?』と聞かれることがよくあります。実は、似ているけれど目的が少し違うんです。

カタログの仕様欄は、お客さんに製品を紹介するための要約です。製品仕様書は、作る人・検査する人・買う人が同じ基準で製品を確かめるための文書なので、もっと細かく書かれます。

仕様書そのものの意味は仕様書とは?意味と目的で紹介しています。

製品仕様書が使われる3つの場面

同じ「製品仕様書」でも、誰が作るかで中身が変わります。次の表で並べてみますね。

場面作る人主な目的呼び方の例
製品を開発・製造するメーカー設計・製造・検査の基準をそろえる製品仕様書、製品規格
製品を買う・調達する買う会社や役所欲しい製品の条件を伝える購入仕様書、調達仕様書
製品を納めるメーカーや販売店納める製品が条件どおりか示す納入仕様書、承認用の仕様書

製品仕様書と納入仕様書の違い

製品仕様書と納入仕様書の違いが気になる方もいますよね。製品仕様書はその製品そのものの条件を決めた文書です。

納入仕様書は、特定の取引で「この条件の製品を納めます」と示すために出される文書を指すことが多いです。買う側の要求に合わせて、型式や付属品、検査の方法が書き足されることもあります。

業界ごとの仕様書の種類は仕様書の種類一覧でまとめています。

呼び方は会社ごとに違う

「製品仕様書」「製品規格書」「納入仕様書」の呼び分けは、会社や業界で決まっているわけではありません。取引先と話す時は、どの書類のことかを最初に確かめておくと行き違いが減ります。

製品仕様書は英語で何という?

製品仕様書は英語で「product specification」といいます。仕様書全般は「specification」で、略して「spec」と呼ばれることもあります。

海外の取引先とやり取りする時、『製品仕様書って英語で何て言うの?』と迷いますよね。

ソフトウェアとシステムの用語を集めた国際規格ISO/IEC/IEEE 24765:2010では、specificationの説明の中で、例としてrequirement specification、design specification、product specification、test specificationが挙げられています。

日本語英語の例使いどころ
製品仕様書product specification製品そのものの条件を書いた文書
要求仕様書requirements specificationシステムや部品への要求を書いた文書
設計仕様書design specification設計の中身を書いた文書
試験仕様書test specification試験の方法や項目を書いた文書

仕様書の英語の使い分けは仕様書は英語で何という?で詳しく紹介しています。

製品仕様書の項目は4つに分けて考える

ここでの結論

製品仕様書の項目は、「形と大きさ」「性能」「使う条件」「安全と規格」の4つに分けるとまとめやすくなります。どの製品でも、この4つの箱にほぼ収まります。

『項目が多すぎて、どこから書けばいいか分からない』という方は多いはずです。そこで編集部では、項目を4つの箱に分けた記入表を使っています。

箱書く項目の例書く時のヒント
形と大きさ外形の寸法、質量、色、材質、外観、付属品図面や写真を別紙にして、本文では番号で呼ぶ
性能出力、処理の速さ、容量、精度、寿命、消費電力数値と単位、測り方をセットで書く
使う条件電源、使う温度や湿度、設置の向き、使い方の制限「この範囲なら性能を守る」という範囲を書く
安全と規格守る規格や法令、安全のための表示、試験の方法規格は名前と番号、年を書く
製品仕様書の項目を形と大きさ・性能・使う条件・安全と規格の4つの箱に分けた記入表の図解

形と大きさ:図と表で見せる

形と大きさは、文章で書くより図面と寸法の表で見せた方が伝わります。本文には「外形は別紙の図による」と書き、図に番号を振っておきましょう。

付属品もここに入れておくと、箱を開けた時に足りない物が無いかを確かめやすくなります。

性能:「測り方」まで書く

性能の数値は、どの条件で測った値なのかが書かれていないと比べられません。例えば消費電力なら、どんな動かし方をした時の値かを添えておきます。

ここが大事なところです。性能の欄は「数値」「単位」「測った条件」の3つがそろって初めて使える情報になります。

使う条件:保証する範囲を決める

使う条件は、製品が性能を守れる範囲のことです。使う場所の温度や電源の条件、置き方の決まりなどを書きます。

この範囲を外れた使い方をした時の扱いも書いておくと、後で「壊れたのは使い方のせいか、製品のせいか」で迷わずに済みます。

安全と規格:名前・番号・年をそろえる

守る規格は、名前と番号だけでなく年まで書いておきましょう。規格は改正されるので、どの版に合わせたかで中身が変わることがあるからです。

製品の種類によっては、法令で表示や試験が求められる物もあります。どの決まりが関わるかは、所管の役所や規格の公開資料で確かめてみてください。

製品仕様書の書き方:誰が読んでも同じに確かめられるように

ここでの結論

製品仕様書の書き方で一番大事なのは、書いてあることを客観的に確かめられるようにすることです。「丈夫」「静か」のような言葉は、数値や試験の方法に置き換えます。

『丈夫な製品、と書いたら通じるのでは?』と思いますよね。ただ、どれくらい丈夫なら合格なのかは、読む人によって違ってしまうんです。

JIS Z 8301の考え方が参考になる

JISの規格票の書き方を決めたJIS Z 8301:2019(規格票の様式及び作成方法)には、製品仕様書にもそのまま使える考え方があります。日本規格協会の資料では、次のような原則が紹介されています。

JIS Z 8301:2019の考え方を製品仕様書に使う
  • できるだけ性能で書き、設計で決める時は「これと同等以上の材料」のように書く
  • 客観的に確かめられることだけを書き、「十分に強い」のような表現は使わない
  • 同じことを別の言葉で書かず、言い方をそろえる
  • 同じ決まりを何か所にも書かない

JIS Z 8301:2019は、規格に準じる文書にも使えるとされています。社内の製品仕様書を作る時の手本として読んでみる価値はありますよ。

文末で「決まり」と「お願い」を分ける

JIS Z 8301:2019では、文末の言い方で意味を分けています。製品仕様書でも、これをまねるだけで読み違いが減ります。

意味文末の例製品仕様書での使いどころ
要求「…しなければならない」「…とする」守らないと不合格になる性能や寸法
禁止「…してはならない」使ってはいけない材料や使い方
推奨「…することが望ましい」守らなくても不合格にはならない目安
許容「…してもよい」選んでよい色や付属品

日本規格協会の資料では、「…すべきである」や「…できる」は使わないとされています。社内の仕様書でも、迷ったらこの表に当てはめて書き直してみてください。

あいまいな言葉の言い換え例

製品仕様書の書き方で、よく出てくるあいまいな言葉を言い換えてみます。数値は製品ごとに決めるので、ここでは書き方の形だけ見てください。

あいまいな書き方確かめられる書き方の形
丈夫であること決めた試験で、決めた回数の繰り返しに耐えること
静かであること決めた距離と条件で測った音の大きさが、決めた値以下であること
小型であること外形の寸法が、幅・奥行き・高さそれぞれ決めた値以下であること
長く使えること決めた使い方で、決めた時間動かしても性能を保つこと
よくある失敗

試験の方法を書かずに数値だけ書くと、作る側と買う側で別の測り方をして、結果が合わないことがあります。数値を書いたら、その数値をどう測るかもセットで書いておきましょう。

機器の仕様書の書き方も同じ考え方

機械や電気の機器の仕様書の書き方も、基本は同じです。4つの箱に分け、数値と測り方をそろえて書きます。

機器を買う側の立場で仕様書を書く時のコツは機械・設備を買う時の仕様書で詳しく紹介しています。

製品仕様書のテンプレート・フォーマットとサンプル

ここでの結論

製品仕様書のテンプレートは、表紙・改訂の記録・適用範囲・4つの箱・試験の方法・付録という並びにすると使い回しやすくなります。サンプルはあくまで形の参考にして、中身は自分の製品で埋めます。

製品仕様書のテンプレートやフォーマットを探している方は多いですよね。ただ、公に決まった様式があるわけではないので、会社ごとに形が違います。

ここでは、JIS Z 8301:2019の規格票の構成も参考にしながら、編集部が使いやすいと考える目次の形を紹介します。

順番章の名前書く内容
表紙製品名・モデル名・文書番号・版どの製品のどの版かが一目で分かるように
改訂の記録版・日付・変えた所・変えた理由版を上げるたびに1行足す
適用範囲この仕様書が対象とする製品とモデル対象外のモデルも書いておく
用語社内用語や略語の意味読む人が迷いそうな言葉だけ
形と大きさ寸法・質量・材質・外観・付属品図面は付録へ
性能数値・単位・測った条件試験の方法の章と番号で結ぶ
使う条件電源・温度・湿度・設置の条件保証する範囲として書く
安全と規格守る規格と法令、表示名前・番号・年を書く
試験の方法何をどう測り、何なら合格か性能の項目と1対1で対応させる
付録外形図・ブロック図・写真本文から番号で呼ぶ

モデルが複数ある時の仕様書の分け方

同じ製品でもモデルが複数ある時は、共通の部分と、モデルごとに違う部分を分けて書くのがコツです。違う部分だけ表にまとめると、比べやすくなります。

項目モデル1モデル2モデル3
外形の寸法共通共通奥行きが長い
出力標準標準より大きい標準より大きい
付属品基本の付属品基本の付属品基本の付属品と延長部品

商品の仕様書テンプレートとして使う時

ネットで売る商品の仕様をまとめる時も、同じ4つの箱が使えます。ただ、お客さんに見せる仕様は、社内の製品仕様書より項目を絞って分かりやすくするのが一般的です。

社内用の製品仕様書を正本にして、そこから商品ページ用の仕様を抜き出す形にしておくと、数字の食い違いが起きにくくなります。

製品仕様書のサンプル(架空の記入例)

ここでは、編集部が作った架空の「卓上の小型送風機」を例に、4つの箱の書き方を見てみます。実在の製品ではないので、数値は書かず、書き方の形だけ見てくださいね。

箱記入例
形と大きさ外形の寸法は付録の外形図による。本体の色は白とする。付属品は電源の部品と取扱説明書とする。
性能風量は、試験の方法の章で決めた条件で測り、決めた値以上とする。
使う条件屋内で、決めた温度と湿度の範囲で使うものとする。屋外では使ってはならない。
安全と規格関係する規格と法令の名前・番号・年を一覧にし、それに合うこととする。

『サンプルをそのまま写せば早いのに』と思うかもしれません。ただ、他社の仕様書の数字や言い回しを写すと、自分の製品と合わない所が残ってしまうんです。

よくある相談:ドラフト版・表示の決まり・測量の製品仕様書

ここでの結論

仕様書の「ドラフト版」は下書きや案の段階の版のことです。また、国土地理院の名前と一緒に出てくる製品仕様書は、測量の成果のデータに関する文書で、工業製品の仕様書とは別物です。

製品仕様書について、Q&Aサイトでよく相談されている話題を3つ取り上げますね。質問はそのまま写さず、要点だけまとめています。

相談1:仕様書の「ドラフト版」とは何?

とても多く読まれているのが、『仕様書のドラフト版って何のこと?』という相談です。

ドラフトは英語で下書きのことです。仕様書のドラフト版は、関係者に確かめてもらう前の「案」の版を指します。

ドラフト版の間は、中身が変わる前提でやり取りします。確定した版と混ざらないよう、表紙に「案」と書き、改訂の記録で版を分けておきましょう。

例えば、関係者に送る時はこんなひと言を添えておくと親切です。

「こちらはドラフト版です。数値は変わる可能性があるので、確定版をお待ちください。」

製品仕様書をドラフト版から確定版に仕上げるまでの流れを示した図解

相談2:電気製品の仕様として表示する項目は決まっている?

『電気製品の仕様書に書く項目は、決まっているの?』という相談もあります。

結論から言うと、製品仕様書の書式そのものが一律に決まっているわけではありません。ただ、製品の種類によっては、法令や規格で表示や試験が求められる項目があります。

どの決まりが関わるかは製品ごとに違うので、所管の役所や規格の公開資料で確かめてみてください。社内では、関わる決まりの一覧を「安全と規格」の箱にまとめておくと便利です。

相談3:測量の電子納品で出てくる「製品仕様書」とは?

『測量の電子納品で、製品仕様書のファイルでエラーが出る。これは何?』という相談もよく見かけます。

測量の分野では、地図などの成果のデータの中身を決める文書も「製品仕様書」と呼ばれます。製品仕様書と国土地理院の名前が一緒に検索されるのは、このためです。

この記事で扱っている工業製品の仕様書とは別物です。電子納品で求められるファイルの形や書き方は、発注機関の要領や国土地理院の公開資料で確かめてみてください。

買う側が製品の仕様書を書く時の注意

ここでの結論

買う側が製品の仕様書を書く時は、特定のメーカーや商品名を指定せず、必要な性能で書くのが基本です。役所の調達では、商標を特定しない考え方が示されています。

『欲しい製品は決まっているから、商品名を書けば早い』と思う方もいますよね。社内の購入ならそれでも済むことがありますが、入札では話が変わります。

内閣官房が掲載している政府調達手続に関する運用指針では、商標等を特定して一般競争や指名競争に付すことを禁じる協定の考え方が示されています。総務省の情報システム調達の実務手引書でも、原則として特定の商標名を使った要求を定めないこととされています。

性能で書いた仕様書
  • 複数のメーカーが応募できる
  • 必要な条件がはっきりする
  • 選んだ理由を説明しやすい
商品名で書いた仕様書
  • 応募できる会社が限られる
  • なぜその商品なのかを説明しにくい
  • 後継の商品が出た時に書き直しが要る

どうしても製品を指定する時は、指定する理由を書き添え、「同等品」を認めるかどうかも決めておきましょう。入札の仕様書の書き方は入札の仕様書の書き方で詳しく紹介しています。

製品の仕様をまとめる力はITの仕事でも生きる

製品仕様書を書く仕事では、作る人と使う人の言葉をそろえ、確かめられる文書にまとめる力が身につきます。この力は、システム開発の要件定義や社内SEの仕事とも共通するものです。

今の職場で仕様書を書く経験を重ねるのも、資格を取ってから動くのも、どちらもよい道です。ITの仕事に興味がある方は、求人の仕事内容をのぞいてみると、経験の生かし方が見えてきます。

IT・Webエンジニアの転職(PR)

仕様書を書く経験を活かせる職場を探すなら、求人も比べてみる

要件定義や設計を任されるか、発注側か開発側か、扱うシステムや働き方は会社によって大きく違います。担当したい工程や条件から、IT・Webエンジニアの求人を比べてみてください。

無料ITエンジニアの求人を探す

求人の条件・待遇は各求人票と応募先の案内でご確認ください。

よくある質問

製品仕様書とは、簡単にいうと何ですか?

製品がどんな形で、どんな働きをし、どんな条件で使えるかを決めて書いた文書です。作る人・検査する人・買う人が同じ基準で製品を確かめるために使います。

製品仕様書のテンプレートは、どこで手に入りますか?

公に決まった様式は無いので、社内の過去の仕様書を元にするのが一般的です。この記事の目次の形や、JIS Z 8301:2019の規格票の構成も参考になります。

製品仕様書と取扱説明書の違いは何ですか?

製品仕様書は製品の条件を決める文書で、取扱説明書は使う人に使い方を伝える文書です。取扱説明書の中に、仕様の一部が載っていることもあります。

製品仕様書は英語で何といいますか?

product specificationといいます。仕様書全般はspecificationで、略してspecと呼ぶこともあります。

製品仕様書の目的は何ですか?

品質をそろえること、取引の約束にすること、検査の基準にすることの3つが主な目的です。誰が使うかで、書く細かさが変わります。

まとめ

この記事の要点
  • 製品仕様書は、製品の形・働き・使う条件を決めて書いた文書
  • 項目は形と大きさ・性能・使う条件・安全と規格の4つに分ける
  • 性能は数値・単位・測った条件をセットで書く
  • テンプレートは表紙・改訂の記録・適用範囲から始めると使い回しやすい
  • 英語ではproduct specification、買う側は商品名より性能で書く
仕様書ドットコム

仕様書ドットコム 編集部

仕様書の意味・種類・書き方から、システム開発の要件定義書・設計書・テスト仕様書、公共工事の標準仕様書・共通仕様書、住宅や発注の仕様書、仕様書を書く仕事のキャリアまでを、初めて仕様書に向き合う人が自分で判断できるように整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次