仕様書の変更管理|仕様変更の伝え方と版の付け方

仕様書の変更管理と変更履歴の付け方を紹介する記事のアイキャッチ。打合せテーブルの仕様書と付箋

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仕様書を出したあとで『ここ、やっぱり変えたい』と言われて、どう直してどう伝えればいいか困っていませんか。

結論から言うと、仕様書の変更は「誤記の修正」「小さな変更」「範囲や費用が変わる変更」の3段階に分けて、段階ごとに承認する人と残し方を決めておくのがコツです。全部を同じ重さで扱うと、手続きが重くなるか、大事な変更が抜けるかのどちらかになりがちなんです。

この記事を読めば、仕様書の変更履歴の書き方と、覚書で残すべき場面が分かります。

目次

仕様書の変更でまず押さえたいこと

先に結論

仕様書の変更で大事なのは、「何を変えたか」「誰が認めたか」「いつから効くか」の3つを残すことです。直した本文だけでは、あとから経緯が分からなくなります。

仕様書は、発注側と受注側が「これを作る」と合意した中身ですよね。だから、変える時も合意をもう一度取り直す必要があるんです。

IPAの共通フレーム2013でも、合意プロセスの中に「合意・契約の変更管理プロセス」が置かれています。変更は作業の途中で起きるものとして、最初から管理の仕組みに入っているわけですね。

同じくIPAが公開している「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」には、「取り決めは合意と承認によって成り立つ」「機能要求は膨張する。コスト,納期が抑制する」という条があります。仕様変更は増えるものだと考えて、受け止め方を先に決めておきましょう。

口頭の「いいよ」だけで進めない

打合せで「それで大丈夫です」と言われても、記録が無いとあとで食い違いが起きます。議事録やメールでもいいので、文字で残しておくと安心です。

変更を3段階に分けて承認者を決める

先に結論

「誤記の修正」は作成者とレビュー担当、「小さな変更」はチームの責任者、「範囲や費用が変わる変更」は発注者と受注者の責任者が認める、という分け方がおすすめです。

ここが大事なところです。変更の重さを最初に見分けておくと、誰に何を頼めばいいかがすぐ分かります。

段階例承認する人の目安残し方
1 誤記の修正誤字、表の番号のずれ、意味の変わらない言い回し作成者とレビュー担当変更履歴に1行
2 小さな変更画面の文言、項目の並び順、エラー文の言い方チームの責任者(必要に応じて発注者の担当)変更履歴と版の更新、関係者へ連絡
3 範囲や費用が変わる変更機能の追加・削除、納期や金額に響く変更発注者と受注者の責任者変更の依頼書と合意の記録、必要に応じて覚書

これは編集部が考えた目安です。契約や社内の決まりで承認の流れが決まっていれば、そちらを優先してください。

仕様書の変更を誤記の修正・小さな変更・範囲や費用が変わる変更の3段階に分け、承認する人を示した図解

迷った時はどう見分ける?

『これって小さな変更?それとも大きな変更?』と迷う場面もありますよね。そんな時は、次の質問に答えてみてください。

変更の重さを見分ける質問
  • 作る物の数や機能が増えたり減ったりするか
  • 作業の時間や人手が増えるか
  • 納期や金額に影響しそうか
  • すでに作り終えた部分をやり直すか
  • テストをやり直す範囲が広がるか

1つでも当てはまれば、段階3として扱っておくのが無難です。小さく見えても、あとで費用の話になることがあるんです。

仕様書の変更履歴と版の付け方

先に結論

変更履歴は「版」「日付」「変えた所」「変えた内容」「承認した人」の5つの列で残します。版は、誤記の修正なら小さく、内容が変わるなら大きく上げると分かりやすいです。

仕様書の最初か最後に、変更履歴の表を置いておきましょう。読む人がまずここを見れば、前の版から何が変わったか分かります。

架空の記入例

版日付変えた所変えた内容承認
1.0初版の日全体初版発注者と受注者の責任者
1.1誤記を直した日3章の表項目名の誤字を修正レビュー担当
1.2文言を変えた日4章エラー文の言い回しを変更チームの責任者
2.0機能を足した日2章・5章検索の条件を1つ追加発注者と受注者の責任者

版の番号の付け方に決まった形はありません。ただ、「点の右は小さな直し、点の左は内容の変更」のように、チームで1つのルールにそろえておくと迷いません。

本文の中でも変えた所が分かるように

変更履歴の表だけだと、本文のどこが変わったか探すのが大変ですよね。変えた行の横に版の番号を書く、色を付けるなど、目印の付け方も決めておきましょう。

仕様書を変更する時の流れ
  1. 変更の依頼を文字で受け取る
  2. 3段階のどれに当たるかを見分ける
  3. 影響する章や関係する文書を洗い出す
  4. 承認する人に内容を説明して認めてもらう
  5. 本文を直し、変更履歴に記入して版を上げる
  6. 関係者に新しい版を配り、古い版を使わないよう伝える

変更を伝える時の書き方

新しい版を配る時の連絡も、書き方を決めておくと伝わりやすくなります。長い説明より、何が変わったかを先に書くのがコツです。

変更の連絡に入れること
  • 新しい版の番号と、前の版の番号
  • 変えた章や項目の番号
  • 変えた理由を一言
  • いつの作業から新しい版を使うか
  • 質問の受付先と期限

例えば、こんな書き出しにすると読む人がすぐ分かります。

「仕様書を1.2から2.0に更新しました。変更は2章と5章で、検索の条件を1つ追加しています。明日の作業から2.0を使ってください」

古い版が手元に残ったままの人がいると、そちらで作業が進んでしまうことも。配ったあとに「新しい版を見ていますか」と一言確かめておくと安心ですよ。

仕様書の変更を覚書で残す時の考え方

先に結論

範囲や費用が変わる変更は、契約の中身が変わることがあります。その時は、変更の内容を覚書などの書面にして、当初の契約書と一緒に保管しておくのが基本です。

仕様書が契約書の一部として扱われている場合、仕様を変えることは契約の中身を変えることにつながります。だから、段階3の変更は仕様書を直すだけでなく、合意したことを書面で残しておくんです。

例えば住宅リフォーム推進協議会の「住宅リフォーム工事標準契約書」の解説では、工事中の変更・追加は注文者と請負者が協議して双方の合意で決めるとしています。変更内容は書面(電子メール等を含む)で合意し、当初の契約書面と一緒に保管する、という考え方です。

外注先に作ってもらっている時の注意

製造や制作を外部の会社に頼んでいる場合は、変える時期にも気を配りたいところです。

経済産業省の「繊維産業における取引適正化推進のためのガイドライン」(令和7年12月改訂)では、仕様を途中で変えた時の望ましい取引慣行に触れています。すでに作った製品は受け取り、仕様変更で生じた準備の費用も委託する側が負担することが望ましい、という内容です。

よくある失敗

相手がもう作り始めているのに、仕様書だけ差し替えて「こちらでお願いします」と送ってしまうことです。どこまで作ってあるか、やり直しの手間をどうするかを先に話し合いましょう。

仕様書と契約書の関係は、仕様書と契約書の違いで詳しく紹介しています。

仕様書の変更でよくある相談

先に結論

よくあるのは「変更の覚書に印紙は要る?」「入札のあとで仕様を変えてもいい?」「打合せで変えた所と違う物が付いた」の3つです。どれも、変更を文字で残しておくことが出発点になります。

知恵袋などで見かける相談を、内容をまとめて紹介します。

相談1:変更契約書や覚書に収入印紙は要る?

契約の内容を変える書類や、委託契約書に付ける覚書に印紙が必要か分からない、という相談です。閲覧数がとても多く、経理や総務の方が迷いやすい所だと分かります。

国税庁の説明では、課税文書に当たるかは文書の名前ではなく、書かれている中身で判断します。印紙税法の別表第一の通則では、契約の内容の変更や補充の事実を証する文書も「契約書」に含まれるとされています。

『覚書だから要らないよね』と決めつけるのは早いんです。個別の判断は、税務署や税理士に確かめてみてください。

相談2:入札のあとで、公告の仕様と変えてもいい?

入札が終わって落札した業者と調整する中で、公告した仕様書と違う内容にしたくなった、という相談です。

入札は、公告した仕様書を前提に価格を競っています。落札したあとで中身を変えると、ほかの参加者との公平さに関わるので、所属する機関の契約担当や決まりで確かめてから進めましょう。入札の仕様書の書き方は入札の仕様書の書き方で紹介しています。

相談3:打合せで変えたはずの物と違う物が付いた

家を建てている途中で、打合せで変更をお願いしたドアと違う物が付いていた、という相談です。

こういう時に頼りになるのが、変更を書いた記録なんです。打合せのたびに、変えた所を書面やメールで残し、相手の確認をもらっておくと、話し合いがしやすくなります。リフォームの場合の残し方は、リフォームの仕様書の書き方も参考にしてみてください。

変更に強い仕様書を最初から作るコツ

先に結論

変更に強い仕様書は、決まっていない所を「未定」と書いて残し、項目に番号を振ってあります。どこが変わったかを番号で言えるだけで、伝え方がぐっと楽になります。

『そもそも変更が起きにくい仕様書は書けないの?』と思いますよね。実は、変更をゼロにするのは難しいので、変えやすく作るほうが現実的なんです。

工夫変更の時に助かること
項目に番号を振る「4.2を変更」と短く伝えられる
未定の所を「未定」と書く後から決める所だと誰もが分かる
決めた理由を一言添える変える時に元の考えを確かめられる
図や表と本文を対応させる片方だけ直す漏れが減る

書き方の基本は仕様書の書き方で、変更したあとの確かめ方は設計書・仕様書のレビュー観点でまとめています。

変更を仕切れる人は仕事でどう評価される?

先に結論

仕様の変更を整理して、関係者の合意を取りながら進められる力は、要件定義やプロジェクトの管理を任される仕事で求められる力です。

変更の依頼を受け止めて、影響を見積もり、関係者に説明する。これは、上流工程を担う人が毎日のようにしていることなんです。

今の職場で変更の取りまとめを任せてもらい、経験を積むのも立派な道です。要件定義や設計を担う仕事に進みたい人は、求人の仕事内容で「どの工程を任されるか」を比べてみると、次の一歩が見えてきますよ。

打合せテーブルに置かれた仕様書と付箋、変更履歴の表を書き込むペンを持つ手元

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よくある質問

仕様書の変更履歴には何を書けばいいですか?

版、日付、変えた所、変えた内容、承認した人の5つを書いておくと十分です。本文の変えた所にも目印を付けておくと、読む人が探しやすくなります。

仕様書の変更は覚書にする必要がありますか?

範囲や費用が変わる変更で、契約の中身が変わる場合は、覚書などの書面で合意を残し、当初の契約書と一緒に保管するのが基本です。誤字の修正のような小さな直しは、変更履歴で足りることが多いです。

仕様書の変更を覚書にした時、印紙は要りますか?

国税庁の説明では、名前ではなく書かれている中身で判断します。契約の内容の変更を証する文書は契約書に含まれるとされているので、個別の判断は税務署や税理士に確かめましょう。

仕様変更を口頭で頼まれた時はどうすればいいですか?

その場で受けた内容をメールや議事録にまとめて、相手に確認してもらいましょう。文字で残しておけば、あとで「言った・言わない」になりにくくなります。

版の番号はどう付ければいいですか?

決まった形はありませんが、「点の右は小さな直し、点の左は内容の変更」のようにチームでルールをそろえると分かりやすくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 仕様書の変更は誤記の修正・小さな変更・範囲や費用が変わる変更の3段階に分ける
  • 段階ごとに承認する人と残し方を決めておく
  • 変更履歴は版・日付・変えた所・内容・承認の5つで残す
  • 範囲や費用が変わる変更は書面で合意し、当初の契約書と一緒に保管する
  • 覚書の印紙は中身で判断されるので税務署や税理士に確かめる
仕様書ドットコム

仕様書ドットコム 編集部

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