仕様書とは?意味と目的、設計書・要件定義書との違い

仕様書とは何かを意味と目的から解説する記事のアイキャッチ。机の上の仕様書の束とノートPC、図面

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仕事で『この仕様書を見ておいて』『仕様書を作って』と言われて、そもそも仕様書とは何なのか、ちゃんと説明できなくて困っていませんか。設計書や要件定義書との違いも、あいまいなままの方が多いはずです。

結論から言うと、仕様書とは「作る物や頼む仕事の中身を、相手と食い違わないように言葉と数字で決めた文書」です。押さえておけばいいのは「誰が書くか」「何を決めるか」「いつ使うか」の3つだけです。

この記事を読めば、仕様書の意味と目的、よく似た文書との違いが、業界をまたいで分かるようになります。

目次

仕様書とは?意味をわかりやすく言うと

先に結論

仕様書とは、作る物や頼む仕事について「どんな物にするか」「どこまでやるか」を決めて書き残した文書です。頼む側と作る側が、同じ物を思い浮かべられるようにするための約束ごとのメモ、と考えると分かりやすいです。

「仕様」は、物の形や中身、やり方についての決まりのことです。その決まりを書いた物が仕様書なんです。

例えば、机を1台作ってもらう場面を考えてみてください。「大きめの机」とだけ頼むと、作る人によって大きさも材料もばらばらになりますよね。

「幅と奥行きと高さはこの寸法。天板は木で、引き出しは2つ」と書いて渡せば、誰が作っても同じ机に近づきます。この「書いて渡す物」が仕様書です。

英語では specification

仕様書は英語で specification と言います。システムとソフトウェアの用語の国際規格ISO/IEC/IEEE 24765(2010年版)では、システムなどの要求、設計、ふるまい、その他の特性を、完全・正確・検証できる形で示す文書、という説明があります。

同じ規格では、例として要求仕様、設計仕様、製品仕様、テスト仕様が挙げられています。つまり、仕様書は1種類の文書ではなく、決める中身ごとにいくつもある文書の総称なんです。

決める中身日本語でよく使う名前主な業界
何を実現したいか要件定義書、要求仕様書IT
どう作るか設計書、基本設計書、詳細設計書IT・製造
使う材料や工法標準仕様書、特記仕様書、工事仕様書建設・住宅
製品の性能や寸法製品仕様書製造・販売
頼む仕事の範囲調達仕様書、発注仕様書、業務委託の仕様書官公庁・企業の調達
確かめ方テスト仕様書IT・製造

英語での言い方と略し方は仕様書は英語で何という?で、スペックや規格との違いは仕様書の言い換え・類語で詳しく紹介しています。業界ごとの一覧は仕様書の種類一覧もどうぞ。

仕様書は「誰が書く・何を決める・いつ使う」の3軸で見る

ここが大事

いろいろな仕様書も、「誰が書くか(発注側か作る側か)」「何を決めるか(中身・品質・やり方)」「いつ使うか(見積・契約・検査)」の3軸で見ると、どれがどんな役目の文書か整理できます。

『仕様書の種類が多すぎて、頭がごちゃごちゃ…』と感じますよね。そこで編集部では、仕様書を3つの軸で見る地図を作ってみました。

仕様書を誰が書く・何を決める・いつ使うの3軸で整理した地図の図解
軸分け方見るポイント
誰が書く発注側(頼む人)/作る側(請ける人)どちらの責任で決めた文書か
何を決める中身(何を作るか)/品質(どの水準か)/やり方(どう作るか・どう確かめるか)文書の中心がどれか
いつ使う見積(値段を決める)/契約(約束する)/検査(できた物を確かめる)どの場面で読み返す文書か

誰が書く:発注側の仕様書と作る側の仕様書

発注側が書くのは「こういう物がほしい」「ここまでやってほしい」という仕様書です。システム開発の要件定義書や、官公庁の調達仕様書がこちらに入ります。

作る側が書くのは「こうやって作ります」という仕様書です。システムの設計書や、工事の施工計画に関わる書類などがこちらです。

IPAが共通フレーム2013のガイダンスで引用している「超上流から攻めるIT化の原理原則17ヶ条」には、「要件定義は発注者の責任である」という一文があります。何がほしいかを決めるのは、まず頼む側の役目なんです。

何を決める:中身・品質・やり方

1冊の仕様書の中にも、決めることが何種類か混ざっています。読む時は「今読んでいる所は、どれを決めているのか」を意識すると、ぐっと分かりやすくなりますよ。

決めること例(IT)例(建設)
中身画面、帳票、機能建物の規模、部屋の仕上げ
品質性能、止まらずに動かす水準、セキュリティ材料の規格、強さ、精度
やり方作業の進め方、テストの方法工法、施工の手順、検査の方法

いつ使う:見積・契約・検査

仕様書が本当に役に立つのは、見積と契約と検査の3つの場面です。国の会計の決まりを見ると、この3つがはっきり書かれています。

予算決算及び会計令の第79条では、入札の予定価格は「仕様書、設計書等によって」予定するとされています。同じ令の第101条の4では、検査は契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行うと定めています。

地方自治体でも、地方自治法施行令の第167条の15第2項で、検査は契約書、仕様書及び設計書その他の関係書類に基づいて行わなければならない、とされています。仕様書は、値段を決める時にも、できた物を確かめる時にも、物差しになる文書なんです。

仕様書が使われる3つの場面
  1. 見積:仕様書をもとに、作る側が値段と期間を見積もる
  2. 契約:仕様書を契約の書類に付けて、何を作るかを約束する
  3. 検査:できた物が仕様書の通りかを確かめて、受け取る

住宅でも同じです。住宅金融支援機構は、住宅工事仕様書の使い方の1つ目に「契約図書として(工事請負契約書に添付)」を挙げています。契約と仕様書の関係は、仕様書と契約書の違いで詳しく紹介しています。

仕様書と設計書・要件定義書・図面の違い

先に結論

要件定義書は「何を実現したいか」、設計書は「どう作るか」、図面は「形や寸法」を主に伝える文書です。仕様書はこれらを含む広い呼び方で、特に図面に表せない材料やふるまい、やり方を文章で決める役目を持ちます。

『結局、仕様書と設計書って何が違うの?』というのが、一番よく聞かれる疑問ですよね。業界によって言葉の使い方が違うので、混乱しやすいんです。

システム開発での違い

システム開発では、要件定義書で「何を実現するか」を決め、設計書で「どう作るか」に落としていく流れが一般的です。デジタル庁のDS-100では、要件定義書に業務要件、機能要件、非機能要件、システム方式の決定を書くとしています。

要件定義書
  • 何を実現したいかを決める
  • 主に発注側の責任で決める
  • 業務の流れや必要な機能を書く
  • 作る前の約束になる
設計書
  • どう作るかを決める
  • 主に作る側が書く
  • 画面の項目や処理、データの持ち方を書く
  • 作る人の手引きになる

仕様書という言葉は、このどちらを指すこともあります。職場で『仕様書』と言われたら、どの段階の文書かを確かめてみてください。

違いをもっと詳しく知りたい方は、要件定義書と仕様書の違いと仕様書と設計書の違いを見てみてください。

建設・住宅での違い

建設では、図面と仕様書がセットで使われます。住宅金融支援機構は、住宅工事仕様書を「設計図面に表せない内容を文章で書き表したもの」と説明しています。

例えば図面に断熱材の種類と厚さが書いてあっても、防湿材をどちら側に施工するかまでは図面だけでは表しにくいです。こうした施工のやり方や仕上げの程度を、仕様書で決めておくんです。

公共建築では、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)で、設計図書を「別冊の図面、標準仕様書、特記仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書」と定義しています。書類どうしに食い違いがある時の優先順位も決まっています。

優先順位書類
1質問回答書
2現場説明書
3特記仕様書
4別冊の図面
5標準仕様書

全国共通の決まりを書いた標準仕様書より、その工事のために書いた特記仕様書の方が優先される、という順番です。個別の工事で迷った時は、特記仕様書や監督職員の指示、契約図書で確かめるのが基本です。

設計図書の関係は設計図書とは?、特記仕様書は特記仕様書とは?で詳しく紹介しています。

業界別に見る主な仕様書

先に結論

仕様書は、IT、建設、住宅、調達、製品と、業界ごとに呼び方と中身が違います。自分の仕事に近い業界の仕様書から押さえていけば十分です。

『自分の仕事で出てくる仕様書はどれだろう?』という方のために、業界ごとの主な仕様書を並べてみました。気になる所から読んでみてください。

業界主な仕様書詳しく紹介している記事
IT・システム開発要件定義書、設計書、テスト仕様書システム仕様書とは?
公共工事(建築)公共建築工事標準仕様書、特記仕様書公共建築工事標準仕様書とは
公共工事(土木)土木工事共通仕様書土木工事共通仕様書とは
住宅住宅工事仕様書、注文住宅の仕様書住宅(家)の仕様書とは
調達・発注調達仕様書、発注仕様書発注仕様書とは?
製品製品仕様書製品仕様書とは?

IT・システム開発の仕様書

システム開発では、要件定義書、基本設計書、詳細設計書、テスト仕様書と、段階ごとに文書が分かれます。IPAの共通フレーム2013は、こうした作業を構想から廃棄までのライフサイクルとしてまとめた共通の枠組みです。

まずは入口の要件定義書から押さえるのがおすすめです。要件定義書とは?、設計書とは?、テスト仕様書とは?の順に読むと、流れがつかめますよ。

公共工事の仕様書

公共工事には、全国で共通に使う標準仕様書や共通仕様書があります。公共建築工事標準仕様書は、建築工事編・電気設備工事編・機械設備工事編の3編とも令和7年版が出ています(2026年10月時点で確認できた版です。使う時は発注機関のサイトで確かめてください)。

標準仕様書と共通仕様書、特記仕様書の関係は、標準仕様書とは?と共通仕様書とは?で紹介しています。

住宅の仕様書

注文住宅やリフォームでは、どんな材料や設備を使うかをまとめた仕様書が、見積もりや契約の土台になります。住宅金融支援機構の住宅工事仕様書は2025年版が出ています。

家づくりで仕様書を見る時のポイントは、フラット35の木造住宅工事仕様書とはやリフォームの仕様書の書き方で紹介しています。

調達・発注の仕様書

官公庁や企業が物やサービスを買う時にも、仕様書を作ります。デジタル庁のDS-100では、調達仕様書に調達案件の概要、作業の実施内容、成果物の取扱いなどを書くとしています。

企業の取引では、取適法(旧下請法)の4条明示で、給付の内容として品目、品種、数量、規格、仕様等を明示する必要があるとされています。入札の仕様書は入札の仕様書の書き方、業務委託は業務委託の仕様書の書き方で紹介しています。

わかりやすい仕様書の読み方・書き方の基本

先に結論

わかりやすい仕様書は、誰が読んでも同じ意味に取れる仕様書です。読む時は目的と範囲から、書く時は「確かめられる言葉」で言い切るのが基本です。

『仕様書は読みにくいし、書くのはもっと難しい』と感じる方も多いはずです。ただ、コツをいくつか知っておくだけで、ぐっと楽になりますよ。

読む時は目的と範囲から

仕様書を最初から順番に読むと、細かい所で迷子になりがちです。まずは「何のための文書か」「どこまでが対象か」を探してから、気になる項目へ進むのがおすすめです。

仕様書を読む時の順番
  • 表紙と目次で、文書の名前と版を確かめる
  • 目的と適用する範囲を読む
  • 他の文書を参照している所を探す
  • 自分の仕事に関わる項目を読む
  • 分からない言葉を、用語の定義で確かめる

読み方の順番は、仕様書の読み方で詳しく紹介しています。

書く時は「確かめられる言葉」で言い切る

規格の書き方を決めたJIS Z 8301:2019では、要求事項は客観的に検証できる物だけを書き、「十分に強い」のような表現を使わない、という考え方が示されています。仕様書でも、あとで確かめられる書き方にするのが一番のコツです。

あいまいな書き方確かめられる書き方
なるべく早く表示する決めた時間以内に表示する
見やすい画面にする文字の大きさや色の決まりに従う
丈夫な材料を使う決めた規格に合う材料を使う
必要に応じて報告する毎週決めた曜日に報告する

同じ規格では、「しなければならない」「することが望ましい」「してもよい」のように、決まりの強さで語尾を使い分ける考え方も示されています。語尾をそろえておくと、どこが守るべき所で、どこが目安なのかが読む人に伝わります。

よくある失敗

打合せで決まったことを仕様書に書き足さず、口約束のまま進めてしまうことがあります。後で「言った・言わない」にならないよう、決まったことは仕様書に戻して、版の番号と日付を付けておきましょう。

書き方のコツは仕様書の書き方、ひな形は仕様書のテンプレート、記入例は仕様書のサンプル・記入例で紹介しています。

仕様書でよくある相談

先に結論

よく見かけるのは「システムの仕様書は何にどう書き分けるのか」「メーカーの仕様書と工務店の見積もりの関係」「仕様書を読んでから作るまでのコツ」の3つです。

よく見かける相談を、内容をまとめた形で紹介します。

相談1:要件定義書や画面定義書など、何に何を書くのか分からない

システムの仕様書には、要件定義書や画面定義書など色々あるけれど、それぞれに何を書くのか、共通の考え方はあるのか、という相談です。

決まった1つの正解はありませんが、「何を実現するか」と「どう作るか」で分けるのが基本の考え方です。要件定義書には何を実現したいかを、画面定義書のような設計書には画面の項目や動きを書きます。

職場に書式があればそれに従い、無ければ公的な手引きを手がかりにしましょう。システムの文書の書き分けは、システム仕様書とは?で詳しく紹介しています。

相談2:メーカーの仕様書と工務店の見積もりが合っていない

ショールームでキッチンの仕様書をもらったけれど、工務店の見積もりと中身が合っているか分からない、という相談もあります。

こういう時は、メーカーの仕様書の品番や仕様と、見積もりの項目を1行ずつ照らし合わせてみてください。合わない所は、工務店に「この項目はどの仕様のことですか」と聞いてみるのが近道です。

住宅リフォーム推進協議会の標準契約書の解説では、契約時に見積書、設計図、仕様書などを添付するよう勧めています。見積もりを比べる時の仕様のそろえ方は、見積仕様書とは?も参考になりますよ。

相談3:仕様書を読んで実装するまでのコツが知りたい

プログラミングを学んでいて、仕様書を読んでから作るまでのコツが知りたい、という相談も見かけます。

おすすめは、仕様書を読みながら「入力」「処理」「出力」に分けてメモを作ることです。分からない所は、作り始める前に質問の一覧にして、まとめて聞いてみてください。

『こんなことを聞いたら怒られるかも』と思うかもしれません。ただ、作った後に食い違いが見つかる方が、ずっと大変なんです。

仕様書を読み書きする力は仕事になる

仕様書を読み解き、関係者の要望を文書にまとめる力は、システム開発の要件定義や社内SEの仕事で求められる力です。建設や調達の仕事で仕様書を扱ってきた経験も、ITの仕事と共通する所があります。

今の職場で仕様書を書く経験を積むのも、資格を取ってから動くのも、どちらも立派な道です。仕様書を書く仕事の中身は仕様書を書く仕事とは?、上流工程に進む道は上流工程とは?で紹介しています。ITの仕事に興味が出てきた方は、求人の仕事内容を比べてみると道が見えてきますよ。

オフィスの机に仕様書のバインダーとノートPC、付箋の貼られた書類を広げて読み比べている様子

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よくある質問

仕様書とは簡単に言うと何ですか?

作る物や頼む仕事の中身を、相手と食い違わないように決めて書いた文書です。頼む側と作る側が同じ物を思い浮かべられるようにするための約束ごとのメモ、と考えると分かりやすいです。

仕様書と設計書の違いは何ですか?

システム開発では、設計書は「どう作るか」を作る側がまとめた文書です。仕様書はもっと広い呼び方で、要件定義書や設計書を含めて呼ぶこともあります。

仕様書は誰が作りますか?

文書によって違います。要件定義書や調達仕様書は主に発注側、設計書は主に作る側が作ります。どちらが書くかは、契約や職場の決まりで確かめましょう。

仕様書の意味を英語で言うと?

英語では specification と言います。要求仕様、設計仕様、製品仕様、テスト仕様のように、決める中身ごとに呼び分けます。

仕様書に決まった書式はありますか?

すべての仕様書に共通の書式はありません。公共工事の標準仕様書や、デジタル庁の要件定義書のテンプレートのように、分野ごとに決まった形がある物もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 仕様書とは、作る物や頼む仕事の中身を食い違わないように決めた文書
  • 誰が書く・何を決める・いつ使うの3軸で見ると、種類の違いが整理できる
  • 仕様書は見積・契約・検査の場面で物差しになる
  • 要件定義書は何を実現するか、設計書はどう作るか、図面は形と寸法を主に示す
  • わかりやすい仕様書は、確かめられる言葉で言い切って書く
仕様書ドットコム

仕様書ドットコム 編集部

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